雪とハイヒール

東京で雪が降ったときの風物詩と言えば、朝の通勤時間にハイヒールで転倒する美女の中継だ。

なぜ、人の無様な姿を見せるのが日本のメディアは好きなのだろう。ワイドショーではないんだよ。いくら注意喚起といっても。

ところで、なぜ、雪でもハイヒールなのか、長らく疑問だったのが、最近ある人の言葉で氷解した。

「だって、ヒールしか持ってないですよ。あ、最近ブーツ買いました」
「えースニーカーとかは?」
「合う服持ってないwww」
「コンビニとかどうするの」
「それはスウェットとサンダル」

そうか。ほかに履く靴がないとは。非常用という位置づけのみの靴は必要がないのか買いたくないのか。

いったい、大震災が起きたらどうするのだろう。男女限らずおしゃれさんというのはこういうものなのか。過度におしゃれの人は、極端にピンチな状況になったとき、自分はお荷物になりますよ、というアピールをしている、ということなのか。


つまり、おしゃれというのは命がけの行為である。クジャクがあれほど目立つのは、自分の安全性だけを考えれば愚の骨頂だ。だから、そこには危険を度外視してでも成し遂げなければならない何かがある。


問題は、それが平和な社会においては、本質的には危険である自己アピールの行為だという認識が薄れてしまうことだ。だから女性が人通りの少ない夜道(以下検閲削除