ネット大衆化とデマ増加の中でネタサイトは生き残れるのか

アンサイクロペディアなんて見るからにしてネタサイトでこれみて騙されたなんて騒ぐのは恥ずかしさの極みだよね〜、なんて言ってられたのも今は昔なのかもしれない。

これが2ちゃんねるまとめサイトを経由して、ツイッター等で拡散されていく。拡散した人は当初はネタとして面白がったのだろうが、アンサイクロペディアを知らない人、あるいはタイトルしか読まない人(本文読めばネタだとわかって当然)によってそれが「デマ」として扱われるようになっていった。

アンサイクロペディアを「悪質なデマサイト」扱いした人 - Togetter

一昔前なら3年ROMれで済むようなリテラシーも、ネット利用があまりに一般化したことで「必要とはされるもののあまり一般に身につけられているとは言えない」リテラシーのレベルになってしまっている。まあネタサイトにダマされるというのは誰がどう見ても偽ブランドなのを嬉々として自慢したり、騙されたって怒ったりするレベルの恥ずかしさがあることは知ってほしいと思うものの。
こういう話が出ると必ずネット免許制って話が出てたものだけど、最近それもちょっと苦しい。もはやネットは自動車道路ではなく歩道レベルのインフラ。せいぜい信号が識別出来れば危険でない程度には整備されていなければならないのだろう。

とはいえ、ネットで何がしかを発信する、という自分の意志を持って行う行為については、免許とは言わないまでも何がしかの研修を行う必要があるとするくらいはあってもよいかと思ったりはする。ただ、正直ネタサイトを簡単に見抜くことはできないし、デマ呼ばわりを減らすことも難しいと思う。どっちかというと、オフィシャル(なんのオフィシャルかは別として)サイトとそうでないものの差くらいは公的に付けることにより、自己責任の範疇を明確にすべきかと思う。ほら、信号だけじゃなくて、一方通行出口とか、右折禁止とかはわかってたほうが良いよね。さすがにその標識を無視したら自己責任、みたいな。

それ以外はネタサイトであろうが真面目なサイトであろうが、信じるも信じないもあなた次第、なわけです。

古参なんていうと恥ずかしいけど、もう20年くらいインターネットを使い続けている(というのは今思うとすごいことだなあ)古参インターネッターからすると馬鹿馬鹿しい話ではあるんだけど、もうインターネットって夢を実現する万能ツールではなくて、単なる生活を便利にするツールでしか無くなっている部分がある。少なくとも、そういうものだと思ってこの世界に入ってきた一般の人にとって、ネタをネタと見抜けないと云々ってのはインターネットの悪に他ならないとも思うw

ネタをネタと見抜けないのは自己責任、と言いたい思いはある。けれども、アンサイクロペディアにしろ虚構新聞にしろBogus Newsにしろ、記事そのもののパッと見からはネタは見抜けない。いかにもアレな、コンビニの成人雑誌コーナーに置いて有りそうな雑誌の記事や、スポーツ紙夕刊紙の見出しみたいに「信じるほうがバカだよ」という外的なラベルが貼られていないからだ。さらに悪いことに、転載することでサイト属性まで失われてしまうというのはウェブサイトの仕組み的な欠陥ではあるものの、利用者を惑わせる一因ではある。

ここでひとつ。ネタサイトにダマされてもあとで言い繕える方法を教えよう。それは、非常に単純だが「必ず出典を明記し、反応するまで一日以上様子をみること」。そして「こいつ騙されてる!」って反応があれば「ネタですがなにか?出典明記しているとおり、分かってやってますよ?」って言い訳することですね。
つまりさ、どこかの情報を元に鬼の首を取ったようにほらみたことか的な発言をするのは非常に危険ってことですね。
ともあれ、自分が騙されたことに気づいたら、嘘情報を元に記事を書いてしまった自分の行為を素直に謝罪するほうが、デマサイト扱いするよりもよっぽど自分の為になるとは思うけど。

こんな世の中で、一服の清涼剤とも言えるネタサイトの存在はなんどもたくさんの人の気持ちを暖かくしていると思う。そろそろ騙された人をバカにするだけではなく、ダマされてもあきらめが付く(自己責任と諦められる)ような仕組みづくりをしていかなくてはならないかもね。

市民メディアとしてのインターネットの役割はとっくに終わりを告げていて、インターネットからリアルに革命は起こるかもしれないけど、インターネットからリアルファシズムが生まれるかもしれないような物になってしまっているとも思う。結局のところ、インターネットが広まったからと言って人々が特別賢くなることはなかった。むしろ情報の選別力によって知的格差が広まったとも言えなくない。フラットになったのは情報入手機会だけであって。

社会インフラとしてのインターネットは結局「バカでも使える」レベルに落ち着くんだろうなあとは思うけど、さてさて、それを実現するには今のインターネット(Web)やPCの仕組みは非常に脆弱であり、人々がそれに依存しきったときに何が起きるのか、怖い想像をしてしまう。今から先の長い仕込みをしておけば、近い将来、大変なことができてしまうかもしれないとかね…