ジョブス
僕がコンピューターに興味を持ち始めたころ、マッキントッシュは高嶺の花もいいところ。アップルコンピューターはアメリカのコンピューターメーカー。ジョブスというパーソナリティーのことを知るよしもなかった。
大学のバイト先でであったNeXTcube。洗練されているとはいえないWindows3.1のGUIに慣れた身には、夢のようなインターフェースだった。ただ、ひたすら動作が重いことを除けば。
それがジョブスの作ったものだ、ということを知ったのは、ジョブスがアップルに復帰したニュースでだっただろうか。NeXTのGUIがMacに取込まれると聞いたとき、パソコンの何かが変わるだろうと思った。
現実を変えたのは、しかし、iPodだった。
著作権の問題について興味を持っていた当時、MP3を初めとした音楽データの問題は実に難しいものだと思っていたけれども。iPodとiTunesの登場がすべてを変えた、といってもいいくらいの衝撃だった。
そもそも。コンピューター的なガジェットをファッションに転化する。これはある程度SONYが実現していたことだと思うんだけど、それを徹底してやりつくしたのがアップルとジョブスだった。
彼がアップルに復帰しなかったら、世界は変わっていなかったのだろうか。多分そんなことはあるまい。でも、その歩みは多少異なっていたし、遅かったのではないか。
僕たちの限られた時間を少しでも節約したであろうその発想とプロダクトに。