自殺のインセンティブが増えてしまった

大津市のいじめの件を踏まえて。

人が自殺をする時、何を考えるのか。死の手前まで思いつめたことはまだないのではっきりとはわからないけれども、どちらかというといじめられる側になりがちだった身としては、復讐をしたいという暗い欲求はあるんだろうなあとは想像する。

人生からの逃避が目的ではあるだろうけれども、自分が死ぬことを契機としていじめを行うものに社会が制裁を加えてくれることを期待する気持はきっとあるだろう。そして、ウェブ時代になってたいていの事件においては犯人の身元は地元の2ちゃんねらーなりが調査した結果が広く伝播したりする。時として冤罪事件にも繋がるので、そのような私的制裁は問題ではあるんだが、今回の件みたいに明らかに組織ぐるみで握りつぶそうとしているような場合は有効かもしれない。もっとも、現時点では何が正しいのかもわからないけれども。

自殺なんかしても復讐にならないんだよ、死人に口なしで黙殺されるんだよ、ということであれば少なくとも復讐を目的とした自殺は意味が無い。でも、最近ではこういう場合はこうやって問題が明らかになったら2ちゃんねるの既婚女性板ねらー(通称鬼女)が調査して公開してくれるんだよなーなんて思ってしまうと自殺に対するインセンティブが高くなってしまう。どうせ現実は先生に訴えても黙殺されるし、ならば死んでやる、と思ってしまうことを責められるだろうか。生きていればいいことがあるよなんて言葉は虚しい。無理して学校に行かなくてもいいと言っても現代の日本で学校に行かないことが人生のプランを大きく左右することだってあるし、別のところに行こうと思っても、家庭環境がそれを許さないことだってある。親は子供を全力でまもるべきだけど、仕事の事情がそれを許さない(経済的な破綻前提でなければ可能でない場合が結構あるだろう)ことだってある。引っ越さなければいじめっ子はやってくるかもしれない。ひきこもりに対する嫌がらせが地域のコミュニティーで立場を悪くするかもしれない。

いじめという根本を絶たないと解決しないことだってきっと多いんだよ。

自殺なんかしなくても、悪いことをしたらそいつは罰せられるべき。そういう世の中にならないと、ますます自殺することによるインセンティブばかりが高まることになってしまうんじゃないかなあ。