波王の秋 / 北方 謙三

波王の秋(とき)
北方氏が歴史小説に参入したのは中世(南北朝)ものなのですが、その締めくくりというべき一編。氏の漢の生き様への主張が余すところなく語られています。ただ、今までの中世ものよりフィクション度合いが強い。時代を借りて自身のハードボイルド論を展開した趣が無きにしも非ず。話自体は無駄もなく、非常に面白い。凡百の架空戦記よりよっぽどマシですね。いろいろとこだわらない人にはお薦め。