塾禁止!

教育再生会議でそんな話がでてきている模様。非常に勇ましい発言です。http://www.asahi.com/national/update/1223/TKY200612230248.html。なんでも「昔は塾なんてなくてもやってこれた」そうで。また、塾は落ちこぼれをフォローする場なら有ってもいいんじゃないかということだそうです。さてさて。
そもそも「昔は〜」って言うのは現状に対する思考停止キーワードと思っているのですが、現実を当事者として見つめていない人はどんなに賢くても、どんなにその当時の成功体験があっても引っかかりやすい罠なんですよね。このような会議は「昔は〜」が発言されたらおしまい。
実際問題として、なぜ昔は大丈夫だったかというと、そもそも進学しようとする人自体が選りすぐりで、かついま発言するような人はその中の勝ち残りだからというのが大きいでしょう。そもそも勉強(あるいはその後の目的のために進学)したくて受験しようというんだからモチベーションが違う。今は大学の定員が世代人口を上回る時代。みんな行かなきゃならないから学校では足りない勉強をどうしてもしなければならないのです。
あれ、じゃあやっぱり塾を廃止して学校の教育に力を入れた方がよいじゃないか!と思うのは短絡的で。問題は塾の有無ではなく、学歴社会じゃないか。その構造が変わらないのであれば学校が塾化するのは必然。私立の学費の高い進学校(入試が難しいとは限らない)が塾の代わりになるばかり。だって「昔はできた」って言うのは、今、塾に行っている子供について「勉学を志すなら学校の勉強と自らの力でなんとかなるはずだ」と言っているわけで。大半の子供たちはそんなこと思っていないはず。勉学に対する情熱ではなく、手っ取り早く大学に行く方法として塾を求めているだけなんじゃないかな*1
いちばんわからないのは、教育の再生を諮る人々が目的としているのは具体的になんなのかなんですよね、結局。教育格差を無くすのが目的であればそれは無理。考えなければ自明ですよ。説明しようとしてしまうとネガティブな理由しか出てこないから建前論にしかならないわけで。レベルの底上げはできると思う。日本の識字率が高いのは諸外国から考えると結構異常じゃないかな。ひらがなだけ読めますと言うわけではないし。でも、教育が社会に対して貢献するための具体的な目的と言うのはあまり出てこない。とにかく全員それなりのレベルに教育して適当な大学に放り込んでおけばあとは社会が何とかしてくれるとでもいいたいようにしか思えないのは穿った見かた過ぎるのでしょうか。

*1:と言うのは親の意思が大半だろうけど