誤認逮捕への保障

無罪にもいろいろあって、有罪とするには証拠不十分であったり、そもそも誤認逮捕だったりするわけですが、特に誤認逮捕の場合においては状況にもよりますが逮捕された側が一方的に社会的なコストを払わされていることになります。「誤認」が起きる原因はいろいろありますが、特に「自白の強要」と「調査不足」については正当に仕事を行っていないことで発生しているものであるから容疑を受けた人に責はありません。しかし、それによって職を失ったり家庭を失ったりするというのはあまりに一方的にコストを負担させられ過ぎていることになります。かといって年金とか莫大な賠償金での保障は手の込んだ「誤認逮捕詐欺」の登場を予感させるわけです。
そもそも、誤認逮捕をしたほうはどうなのか。あまりその後どうなったかは聞かないですが、キャリアが関わっているかでも話が違うのですかねえ。いずれにせよ、職務上のことでもあり、逮捕された人ほどのコスト負担にはなりませんよね。出世遅れるとかしないとか不幸な下っ端に責任押し付けるとか。でも証拠の捏造とか意図的な調査未実施はほとんど犯罪ですよ。通信記録見れば明らかとかそういうのはあまりに酷い。人の人生を奪っておいて自分は何もないってのはおかしいですよね。偽証罪に類するものが必要なんではないでしょうか。
それはさておき、本当に問題なのは、「逮捕」という事実によって「社会的な地位」が地に落ちてしまうことです。これは極端な話、警察の責任ではありません。誤認の事実について争っているとしてもそれ以前の「逮捕された」ということがトリガーとなり、色々なものを失うのは我々の側の問題です。痴漢冤罪が起きるのは犯罪を行ったと疑われたことが既に罪という封建武士的なモラル感が原因なのでしょうか*1。こういうときの人の冷たさはあまり褒められたものではありません。
「警察何やっているんだ」と声を上げることは必要です。しかし、それで警察が仕事をできなくなるのもそれはそれで問題です*2。となれば、まずは誤認逮捕されたことによってその人が支払わなければならないコストを下げるべきですよね。これは保険みたいなものだと思いますが、普段から人を信頼するというコストをかけておく事で自分がいざその立場に立たされたときに回収できるようにする。警察に闇雲に反発するのではなく普段から協力すべきことには協力するのも大事かも知れません。信頼関係をきちんと作り上げておくことが大切なのではないでしょうか。声をあげてくれる、また自分も相手がそういうことになったら声をあげる、そういう関係がいくつもあればコストは0にならないまでも、人生を持っていかれるほどではなくなる、そういう風になればよいのですが。

*1:そのわりには会社内でのモラルはなかったりしますが…

*2:ちゃんとやればいい、だけでは解決できないこともあるでしょうし