総論賛成・各論反対

およそ、議論をする命題に対してその各論についてのすべての賛同を得ると言うのは難しい。どんなに総論で意見の一致を見ていても、その細部については人によって意見が異なるのは日常茶飯事であるし、議論を実のあるものにしていく際に、どうしても切り捨てなければならない意見と言うのもあるだろう。でも、その目的意識が総論を如何に推進するか、の部分にあるのであれば、どうしても譲れない一線と言うものがない限り、うまく妥協点を探していけるものだ。
だから、各論に対して、総論の観点からおかしいと批判するのは正しいことであるけれども、「自分の論がほかの各論よりも正しい」を総論を根拠に主張するのはおかしい。みんなはその総論を推進するために各論を押しし進めているのであるから、その観点からであれば、それぞれが正しいのは当たり前だ。でも、その観点でそれぞれを比較することはできない。
各論に反対が出るのは、個々人が持つ知識や経験から、違うロジックが導かれるからであり、それぞれはそれなりに正しさを持っているから、現実性や実際性などにより批判したり、ブラッシュアップされていかなければならない。でもここで、「総論がこうなんだからこれでいいんだ」と言われても「俺の論だってそうだよ」って言われるだけ。結局、何が総論かわかっていないと、ほかの人の話している論が総論なのか各論なのかわからないから、総論対総論と勘違いして、全面否定に走る、と言うことがあるのかもしれない。