リンクによる不可逆とは何か

まあその前から散々話されてはいるのですが、こうやって個別に提示するということから、今までと独立した議論であるという前提で言及します。

  • リンクをした人は、リンクをされた人から「リンクをやめろ(さもなければ俺を納得させろ)」と要求されたときに、以下の3つの中から自身の責任のともに自由に1つを選択することができる。(A)リンクをやめる。(B)相手を納得させたうえでリンクをする。(C)相手を納得させることなくリンクを継続する。
  • (C)を選択することは、「相手を不可逆な状態に陥れることになる可能性があるにもかかわらず、その行為をその人を納得させることなしに実行しても構わないと自分の価値観に基づいて一方的に判断し、それを実行した」という事実を生じさせる。
リンク・被リンク論(暫定第2版) - くっぱのブログ

「相手を不可逆な状態に陥れることになる可能性があるにもかかわらず」の部分が成り立つかどうか。その後はこの設問においては当然行為そのものの価値判断であるから無条件に成立します。また、価値観に基づいて選択したことと、前段が結びつくためには、その価値観の中に「相手を不可逆な状態に陥れることになる可能性を知って」と言うものが無ければなりません。いや、無くてもいいんだけど、「だからどうした?」になるだけです。
じゃあ、不可逆な状態とは何か。
知られるのが問題であれば、検索エンジンや他の人のリンクも一切お断りじゃないと成立しないように思われますが、その場合、よっぽどの偶然でもないとたどり着かないコンテンツな訳で、そのような限定された事情であればあるいはありえるかもしれませんが、一般に広く適用するには前提が足りなさそうです。意図しないアクセスを誘導することが不可逆なのであれば、そのリンクが無ければそのようなアクセスが起こりえないということを証明できないと命題としては真にはならないように思えます。何よりもそこにたどり着けたことがそのことを否定しているわけですが。本当の偶然を除けば。

  • 相手からのリンクについて納得していない人は、以下の3つの中から自身の責任のもとに自由に1つを選択することができる。(a)リンクされたコンテンツを書き換えたりウェブから削除する。(b)リンクをされるがままでいることについて自分で自分自身を納得させる。(c)「リンクをやめろ(さもなければ俺を納得させろ)」と相手に要求する。
  • (c)を選択することは、「相手を不愉快な気分に陥れることになる可能性があるにもかかわらず、その行為を実行しても構わないと自分の価値観に基づいて一方的に判断し、それを実行した」という事実を生じさせる。
リンク・被リンク論(暫定第2版) - くっぱのブログ

納得していない状態を維持できない理由がわかりません。「政治に納得いかないけど選挙しても無駄だから国会議事堂を爆破するか俺が自殺するかのどちらかしか選択肢は無い!」と主張されているようにも思えます。納得いかないけどしょうがない、じゃダメなんですかね。こちらの命題が成り立てば最初の命題も成り立ちそうですが、そんなわけで、「そういうものだから諦める」が選択肢として提示されていないとダメだし、それを選ばれてしまうと最初の命題の補強にはなりませんね。いや、そういうことじゃないか。全然前の命題と後の命題は関係ないか。結局どうやってもこの議論の焦点として、「不可逆」の評価に帰結してしまいますね。