ガイア / デイヴィッド・ブリン

うわ、本当にブラックホール作ろうとしている人がいたよwww

LHCでは実際に、極小ブラックホールの生成実験が予定されている。しかし、LHCによってミニ・ブラックホールが生成できたとしてもそのミニ・ブラックホールは、理論上はホーキング放射によって直ぐに消滅することなども予想されており、実験そのものには危険性はないとする考えが今のところ、大勢を占めている。

technobahn.com - このウェブサイトは販売用です! - 株価検索 株価チャート 株価 銘柄 終値 リソースおよび情報

SFファンならすぐ連想すると思われるのがこいつ

ガイア―母なる地球〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ガイア―母なる地球〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ガイア―母なる地球〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ガイア―母なる地球〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ブリンの小説では、停電事故で地球の内部に落っこちた(!)ミニ・ブラックホールは正にこの「安定しないから消滅する」という理由で放置されますが、主人公は「実は安定しているんじゃないか?」と疑いをかけます。

23 栄養士(千葉県) :2008/03/28(金) 23:00:36.74 ID:+/0Saot60
ミニBH生成
  ↓
ミニが周りのもの引き込んでちょいミニBHに成長
  ↓
ちょいミニBHが周りのもの引き込んでミドルBHに成長
  ↓
ミドルBHが周りのもの引き込んである程度のBHに成長
  ↓
ある程度のBHが周りのもの引き込んで結構なBHに成長
  ↓
結構なBHが周りのもの引き込んでかなりサイズあるBHに成長
  ↓
かなりサイズあるBHが周りのもの引き込んででっかいBHに成長
  ↓
でっかいBHが周りのもの引き込んでチョーでかBHに成長
  ↓
チョーでかBHが周りのもの引き込んで史上最強BHに成長
  ↓
ここまでの段階の中で地球は既に飲み込まれてる
  ↓
まだまだいくよー!

http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51267073.html
まあ、こんな感じ。
しかし、そこは希代のストーリーテイラー、ブリン。そんなに単純なお話では終わりません。
一見、ミニブラックホールが引き起こしたと思われる様々な事象を調べていくと、どうも主人公が生成したものではないと思われる特異点が?
この小説のキモは「ガイア理論」。それを信奉する人たちが引き起こすドタバタで事態は複雑化していくのです。そして、広がりに広がった大風呂敷を半ば強引に畳んでいく手腕は正に現代最高のエンターテイメントSF作家の面目躍如と言ったところ。もっとも、強引過ぎて科学的にはどうか、という話ではあります。
また、この小説はガイア理論をテーマに据えていることからもわかるとおり、環境問題についての警鐘でもあります。というか、人類の傲慢に対しての警鐘というか。もっともそんなところ全然気にしなくても単純に面白いですけどね。舞台が2038年ってのも面白い。IT業界の人には2038年というのはちょっとしたイベント的な年です。それを意識したのかどうかわかりませんけどw

ブリンの作品紹介

看板シリーズである「知性化」シリーズの第2作目にして未だに全体の中での重要な地位を占める作品。というか、ここでばら撒かれた伏線が最終的に回収されるときがシリーズの最後になると思われます。
「知性化」シリーズでは、様々な宇宙人が出てきます。それこそ我々のイメージしている宇宙人の枠を飛び越えたような奴らが何種類も。彼らは謎の「始祖」に知性の最後の一線を飛び越える改良を加えられたことで、知性を獲得し、その時期の早さと自力での宇宙航行を可能にすることなどの要素により、宇宙で認められ、またその地位・覇権を争っています。知性化された種族は自らの支配下にある一歩手前の種族を知性化する権利を認められています。
さて、人類が宇宙航行の技術を手に入れたとき、宇宙は知性的な宇宙人(決して全部理性的なわけではありませんw)でひしめき合っていました。が、宇宙人側は大騒ぎ。何しろ、人類が知性化された痕跡がないのです。この謎を解く鍵が、消え去った「始祖」達であるかのように、人類の探査チームが「始祖」の痕跡を発見してしまうことから宇宙中が大騒ぎになっている、というのがこれらのシリーズの時代背景ですね。そして、その探査チームがある惑星に逃げ込んだ事件が描かれているのが本作。
ちなみに、人間が知性化を施したのはイルカとチンパンジー。イルカたちはなかなかいい奴らです。ちなみにブリン的には配慮しているのか元々の思想なのかは知りませんが、今我々が鯨やイルカを捕って喰うことについてイルカ達に否定的には語らせていません。
そんなわけで、伏線が回収されるフィナーレまでシリーズがちゃんといくことを祈っています。エンタメSFですからね。完結しないと。
他に「サンダイバー」、「知性化戦争」、「知性化の嵐」シリーズ(全3作文庫6冊)と、アンソロジーに収められた中篇があります。
ポストマン (ハヤカワ文庫SF)

ポストマン (ハヤカワ文庫SF)

ケビン・コスナー主演で映画化された、ブリンの中ではかなりシリアス目の作品です。
グローリー・シーズン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

グローリー・シーズン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

グローリー・シーズン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

グローリー・シーズン〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ちょっとル=グィンな感じのシリアスな長編。女性の単性生殖が行われる社会。厳しい環境で生き抜いていく少女の物語。SF的舞台における人間の成長物語ですね。展開はブリンらしく非常に面白いです。3B(ベンフォード・ベア・ブリン)が書き次いだアシモフの代表作「ファウンデーション」シリーズの続編。
プラクティス・エフェクト (ハヤカワ文庫SF)

プラクティス・エフェクト (ハヤカワ文庫SF)

科学と魔法が入り混じったような設定の、初期の佳作
彗星の核へ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

彗星の核へ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

彗星の核へ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

彗星の核へ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

さっき上げたグレゴリー・ベンフォードとの合作最新作ですが、未読。読まねば。