自由の敵はSLAPPか

オリコン烏賀陽裁判の地裁判決が出たようです。結論から言うと原告勝訴、と。

これまでの雑誌に対する名誉毀損訴訟の判例とかを見る限り、この判決がまったくのデタラメなものだとは思わない(報道をどう捉えるかという配慮はされてないけど、司法がどれだけ判断できるのかという面もあるだろうし)けど、しかしそれにしてもこの訴訟はあらゆる意味でおかしい。

音楽配信メモ オリコン烏賀陽裁判の地裁判決文をアップしました

津田さんはこういっているし、実際に「事実無根でない」根拠を示すのは難しかったのだろうと思うけれども、このようなコメントを弾圧するかのような訴訟を行うかどうかの判断は企業のモラルの部分に近いのではないかな。もっとも、これを戯言とスルーできなかったオリコンは痛い腹を探られまくったわけだし、死亡フラグを自ら立てたようなものに見えなくもない。企業のあるべきコンプライアンスというのは風評リスクを十分に織り込まなくてはならないな。
この件は雑誌へのコメントだったけれども、今後こういった問題はウェブにもシフトしてくるだろう。かつて東芝クレーマー事件でネットの力というのは十分に示されたけれども、それはやり方によっては社会に対して十分に影響力を発揮できるということを社会が認識したということだ。つまり、ある程度力をもつと思われるところからの風評の発信はたとえそれが事実に基づくものであってもその事実が証明可能でない場合、訴訟のターゲットになりうるということ。もちろん、事実無根のことを言いふらすのはダメなことだと思うけれど、究極的には我々消費者が正しい情報を手にする機会を奪うことにも繋がりかねない。今後こういった訴訟がどのくらい起こっていくのか注意深く観察したいところです。
とりあえず、烏賀陽氏はお気の毒というほかない。