バビロニア・ウェーブ / 堀晃

僕はあんまり日本のSFは読んでないのだけど、なんでかというと、スケールというか、ケレンというか、トンデモというか、なんとなくそういうところが足りないような気がするのですね。もっとも、食わず嫌いな部分もあるかもしれないけど。
でも、ふと手にしたこれはなかなかスケールのでかいお話でよかった。話のスケールはでかいけど、活動範囲は小さいってのも省エネな感じでまあ、日本っぽいのかもしれない。

バビロニア・ウェーブ

バビロニア・ウェーブ

太陽から少し(といっても地球からはだいぶ遠い)離れたところにある謎のエネルギー帯。人呼んでバビロニア・ウェーブ。目には見えないけど、存在し、そこからエネルギーを反射板を使って取り出すことが可能になったところで、人類はほぼ無尽蔵なエネルギー源を手に入れたことになった。けれど、反対側に反射されたエネルギーはどうなったんだろう。
基地間連絡艇のパイロットである主人公は、ウェーブを取り出して地球へと送る照射基地のトラブルに巻き込まれ、バビロニア・ウェーブの存在の予言者であり、発見者であるランドール教授を拾い上げ別の基地に向かうことになるのですが、そこでの様々な思惑と、不思議な出来事に巻き込まれ、次第に事件に深入りしていくことに…
極めて淡々と進んでいくドラマですが、とにかくスケールはでかい。何しろ直径1200万キロ、全長5380光年のエネルギー帯が相手です。バビロニア・ウェーブが何故そこにあるのか。なんともハードなSFですが、こういうのは想像力を駆使し、世界観を楽しむのが一番。しんみりとした感じのお話がなんとも味わい深い。