医療崩壊先進国での改善事例

まあ、小倉先生のイギリスの医療崩壊は財政面に力を入れることで改善しつつある、という指摘はごもっともではあるのだけど。つまり、日本の医療も予算が足りないって言っているんですよね?リスクと報酬が見合わないのも原因の一端であるから、大変よろしいんじゃないでしょうか。
とはいえ、イギリスでの医療への警察介入は、やはり問題視はされているようです。

このガイドラインには、「わかりやすい覚書」(Memorandum ofunderstanding: Investigating patient safety incidents involvingunexpected death or serious untoward harm)も掲載されています。
 その序言には、「イギリスでも以前は診療関連死が起きた場合は当事者である医療従事者を処罰する方向でしたが、処罰を前提にすることで他の医療職や医療機関が今後の診療に役立てる為の大事な情報が出てこなくなり、むしろマイナスに働くことがわかってきました。そしてNational Patient Safety Agencyへの診療関連の有害事象報告が、報告者を罪に問わないという条件でなされるようになりました。」と記載されています。

産科医療のこれから: イギリスにおける診療関連死への警察介入に対するガイドライン

ガイドラインはこれですね。http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/DH_062975
2006年のものですから、つい最近ですね。
ここでの重要な点として「スタッフに動揺が起きないような配慮」というのが挙げられています。つまり、警察による過度の介入が医療関係者の士気を落とし、医療ミスの連鎖や逃散の原因になりかねないということは十分認識されているようです。
妥当な報酬と、過度の介入を避けるという両方の施策により医療崩壊からの回復への一歩を踏み出した、と言えるのではないでしょうか。
これは、日本の現状を憂える医師たちが求めていることそのものではないですか。航空管制の話が引き合いに出されている以上、上記のようなガイドライン的なもの、免責に対する法的な整備、ミスを隠さないための体制などを求めていると考えてよいと思います。
医療崩壊し、回復した先進国の事例に、医療崩壊をするという手順まで学ぶ必要はないと思いますが、当初から言われているように、患者が困って初めて崩壊したことに気付くのかも知れませんから、医師の方々は早々に一旦逃散し尽くして、報酬が引きあがるまで待って帰ってきたほうが医師の経済的にはよさそうです。
なぜ、心ある医師の方々が、その戦略(いや、戦術かな?)を踏もうとしないのかを、患者である我々は良く考えた方が良いんじゃないかと思います。