GoogleのBook Searchと著作権者が和解した方向性を他の著作物に広げられるか

色々とありましたが、既成事実がこれだけ出来上がっちゃうとね。

Book Searchをめぐるグーグルと権利者側の和解が成立した。それによると、著作者に許諾権を与え、一定の報酬を支払うほか、グーグルが1億2500万ドルを出して"Book Rights Registry"を設立し、ここで本の権利を集中的に処理する。同じようなレジストリを、グーグルが音楽や映像に関してもつくってはどうだろうか。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/3ea0206a390c7bfc36e4f56605e03528

これは力技の勝利だと思うんですよね。音楽や映像がなかなか同じ土俵に載らないのは、すでにメディアの中心がデジタルデータであった状態からインターネット時代が始まったところに問題がある。電子化して宣伝活動にそもそもコストがかからない。わざわざ他人がそれをやることに対して権利を侵害された感がより強いという印象はあります。

日本ではJASRAC以外の仲介機関は、JASRACがデータベースを公開しないためビジネスが成り立たないが、グーグルならデータベースをつくるのは簡単だろう。このレジストリに登録した権利者は、すべての事務をグーグルに代行させる代わりに許諾権を放棄し、定額の報酬を利用量に比例して取る。レジストリは利用者に自由にコピーを許す代わりに、利用状況を追跡するフィンガープリントのようなしくみでliability ruleによって料金を請求すればよい(支払いが行なわれない場合は損害賠償を請求する)。
これは契約ベースなので、著作権法を改正しなくても実現できる。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/3ea0206a390c7bfc36e4f56605e03528

ちょっと前段は理屈が交錯している(公開しないのとデータベースを作るのが簡単だからどうというのは独立した話だ)けれども、一つのアイディアとしてはありなんじゃないか、と思う。というか、Googleを登録機関にする、という話を除けば色々な人が提示しているアイディアだ。
Book Search的な既成事実化というのはしかしすでに行われている。GoogleYouTubeを買収した理由はそれではないのかと思うわけ。そして、重要なのは、最後の「契約ベース」の解決方法、という話。著作権法には商業的な取り決めは一切いらず、ただ権利者のもつ権利を侵害されないため、何が権利で何が侵害か、ということさえはっきりしておけばよいわけで。
でもGoogleにメタ情報だけじゃなくてコンテンツの本体までガッツリ握られるのはちょっとキモイね。メタ情報の覇者を目指して欲しいものです。

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