勝ち負けで語るべき俎上に乗っていないセブン銀行

まあJ-CASTだからなあ…

セブン銀行の2008年9月中間決算によると、最終利益は前年同期に比べて45.5%増の90億円と伸ばした。メガバンクなど、既存の銀行が軒並み減収減益となるなかで、ひとり気を吐いた格好。ATMの利用に集中した独自のビジネスモデルが当たった。

逆風の金融界でセブン銀行ひとり勝ちの秘密 : J-CASTニュース

確かに第二地銀なんかと比べた場合、90億ってのはそれなりにインパクトのある数字だけれども、セブン銀行って銀行の主たる業務のごく一部しかやっていないんだよね。

銀行は次の業務を営む。

以下略

銀行 - Wikipedia

中でももっとも重要な業務は融資(資金の貸付)なんだけど、セブン銀行は預金しかやっていない。もっとも、民営化前の郵貯も貸付はしていない。だからこそ莫大な預金量をバックに貸付が可能になる郵政民営化が各銀行(特に地銀)の脅威として大反対にあったわけだけれども。
だから、集めた預金を投資するしかないんだけど、その先を国債にしたからさ部プライムの影響が少なかった。こういう堅い運用をしていた銀行はほかにもある。
もちろん、この「国債中心に投資」が「勝ち組になった秘密」であると言ってしまえば言えない事はないけれども、資金量に対して一定以上の収益をあげる試みをしないのであれば、国債に投資するのはしごく当たり前な戦略でありますね。
世の中の銀行が、「預貯金しか扱いません、投資は全部国債にします」ということになったら融資を受けたい人は困ってしまうわけだし(住宅ローンだって組めないよ)、そういうなか、そこを業務としないセブン銀行が「サブプライム問題の影響をあまり受けなかった」というのは当たり前。サブプライム問題がなければ利益は当然ほかの銀行の後塵を拝するわけであります。決してほかの銀行に勝ったんじゃなくて、勝負してない。
セブン銀行のビジネスモデルはその豊富な拠点を生かした手数料収入を中心としたもので、それはアドバンテージのあるものだと思うけれども、いわゆる一般の銀行と勝ち負けを競う類のものではないんだよね。