独立試行の矛と大数の盾

「おい、鍛冶屋、外の看板に書いてあることは本当か?」
「おやお武家様、いらっしゃい。ええ、うちは誠実が売り、うそなんて一切つきませんよ」
「そうか、では、嘘だったらお前の腕をぶった切るとして一つ教えてほしいのだが」
「そんな物騒な…でもまあどうぞ?」
「看板に「どんな盾でも貫く矛」と「どんな武器でも壊れない盾」というのがあるのだが、この矛でこの盾を突くといったいどうなるのだ?」
「おや、それは良いところに目をお付けになられましたね。実はこの矛は「独立試行の矛」盾は「大数の盾」といいまして、どちらも量子物理学的性質を持っております。」
「むむむ」
「そのことにより、この矛はどんな盾でも貫く可能性を持っており、またこの盾はどんな武器にも負けない可能性があります。これらは純粋に確率的事象なのでどちらも正しいと言い切れるのです」
「うーん、よくわからんが、すごい性質を秘めているということなのだな?よし、わかった、いちゃもんをつけた手前、両方ともいただくことにするか」
「毎度あり〜今後ともごひいきに〜」



「ふう、どうやらこっちの俺はやつを怒らせることはなかったようだな。グッバイただの矛とただの盾と言うことに気づかれた分岐の俺」