面接官が求めているもの

こんな記事が話題です。
この国はきっと滅びる!就活のバカたち 学生もバカなら、面接官も大バカ() | 現代ビジネス | 講談社(1/6)
正直申し上げて、上記の記事は引きこもりが書いたんじゃないかと思うくらいの記事で、矛盾に満ちていますが、きっと中身へのつっこみは誰かがやっていると思うので前向きな話をしてみましょう。
僕はかつて自社で採用面接をやった縁もあり、高校の部活の後輩の就職支援活動を某人材系会社から独立した人材コンサルの先輩と一緒にやっています。そこでのやりとりでわかったことも含めて、簡単に。あくまで主観ですから通用するかどうかは保証できませんが、一般論のつもりで書きます。

面接は一種類ではない

会社にとって、採用活動というのはやっかいなことの一つです。予算通りに人数を確保するのは難しい。最近は就職難で買い手市場に思われがちですが、どこも採用を絞っているので、優秀な人に内定が集中し、結果として内定が蹴られることが多くなります。なので第二ラウンド、第三ラウンドでも応募数が多くなりがちです。
そんななか、有限な時間で面接をこなすためにはどうしても「足切り」をしなければなりません。
面接には平たくいって足切りの為のものとその人を深く評価するものの二つあるといってよいでしょう

エントリーシートは面接だ!

学生の時は気づかなかったけど、採用側の視点から見るとエントリーシートって最初の面接ですね。本当に面接にきてもらうかを決めるのにも、面接で何を聞くかのネタにも使います。初期選考の人事や面接官はたいてい直前に眺めるだけですから第一印象は大事です。また、質問に対してきちんと応答していることが大事です。よくあるのは、例えば「学生時代に最も頑張ったことについての概要とそこで得たものを教えてください」に対して「サークル活動では部長として頑張り、こういう実績を上げました」みたいな回答。後半の質問に答えてないですね。
面接の時も同じですが、「なぜこういう質問をするのだろうか」と考えてみるとよいかと思います。
また、「面白そうだから面接で掘り下げて聞いてみたい」と思わせることができれば通ったのも同然です。

ルーチンが試されるお作法

何かとバカにされがちな面接のお作法(ドアの開け閉めとか挨拶の仕方とか)ですが、会社によっては重要視されます(大して気にしない場合も多いです)。
重要視される場合に試されているのは決められたことをきっちりできるか(調べてきてトレーニングしてきているか)ということだと考えてください。別に礼儀正しい人間かどうかなんてそんなんでわかると思っちゃいません。わかるのはルーチンに乗れるかどうか。

足切り面接は基本+運

面接の中で極端に時間が短いもの(1分〜5分)はたいてい足切り面接です
いわゆる面接の秘訣が効くのはこのたぐいの面接ですね。自己紹介で好印象を与えるテクニックとか、質問への応対の仕方とか。そして、運にかなり左右されます。一社ダメでもあきらめないのが肝心です。

自分を作ることは必要?

上記の記事では自己アピールや自己分析をバカにしていますが、そんなことはありません。就職活動は、企業に三億円で自分を買ってもらうために自分がそれだけの価値があることをセールスする活動だと思って差し支えありません。自分の商品価値がなんだかわからないままセールスなんて出来ませんよね。
それは当然ながら自己陶酔でも何でもありません。企業は「この人はうちの会社で何をしてくれるだろう」と思っているのですから、それをはっきりさせてあげる必要があります。
じゃあ、自分を作る必要はあるのか。
事前に性格診断されると思うんですが、あれってかなりちゃんとでます。攻略法もいたちごっこなので、ナチュラルに捉えて、そこでうそはつかない方がよいと思います。
んで、企業が求めているのは、自分たちが求めている人材かどうかの判断材料なんですよ。企業に合わせて自分を作るのは財産目当てに好きでもない人と結婚するようなものです。とはいえ、自分のエピソードの中でその企業にアピールできるのは何かを考えることは大切です。嘘ついて盛るのはすぐばれるけど、自分の持ってるものを相手が求める形に料理して提示するのは大事です。それは自己陶酔でもなんでもない、ビジネスとしての応答なんですよね。

面接で大喜利やる会社なんてあるの?

最初に上げたエントリーにはばかばかしい面接の事例があげられてますが、大半の会社はそんなことしません。芸人採用じゃないんだから。
そんな記事にだまされ、自己分析を怠り、あるがままの自分という名のひとりよがりな自分(相手にあわせた自己アピールをしないほうがよっぽど自己陶酔)を面接に持ってくのはもったいないですよ。

長所と短所は表裏一体

長所と短所を述べよ、って結構難しいですよね。でも、なんでそれを聞きたいかに目を向ければ答えは見えてきます。特に短所は裏を返せば長所といえる、というところを意識しておいた方がよいですね。


取り留めのない感じになりましたが、最後に。確かにバカバカしい採用活動をしている会社はあるのでしょうけど、ほとんどはそうではありません。面接はありのままの自分を見せる場ではなく、自分の商品価値をアピールする場ですから、相手の求めるものを理解し、それにマッチする自分をきちんと探す必要があります。出来れば自己分析やエントリーシートは他人にみてもらいましょう。いくらなれればうまくなるといっても本番の面接では悪いところを教えてくれないので模擬面接を受ける機会があれば受けましょう。
面接には必ず意図があります。相手が何を意図して話しているかを意識せずして成功はありません。悲しいことにコミュニケーションには自信がありますという人の大半はこちらの意図を考えようとしませんね(ちゃんとコミュニケーションできてる人はそもそもそれがアピールポイントではなく前提だということに気づいています)。
就職難といわれる時代ですが、企業も優秀な人を求めているんです。是非あなたの潜在能力をきっちりアピールしてください。