ヱヴァQ考察(ネタバレ)ストーリー編:前編

破を見たときはこんなに色々考えたり書いたりする気なんて一切起きなかったのにQはすごい。僕もまたチルドレンということなのか。
一切衒学的な話は交えず(わかんねーし)、1度だけの見たままを記憶の限りで考察するので、考え方を異にする人も多いと思いますが、アウトプットしておくことは何かになる気がするので気にせず。

冒頭

強奪される初号機。ということは、凍結したのはNERVということか。なぜこのタイミングで強奪したのか。いや、そもそもこのタイミングはいつなのか、ということは明確に語られていない。どこから繋がっていようが、いわゆる「サード・インパクト」から14年間のどこかで、ということになる。もっとも、テクノロジーが急激に進化することはないと考えると、そのあと初号機からシンジをサルベージし、ヴンターを建造するためにかかる時間の直前とは思うけれど。
で、問題は使徒らしきものの正体。第12でいいのかなあ。初号機が覚醒した理由もさっぱりわからない。しかし、ひとつのポイントとしては「なんとかしなさいよ!バカシンジー!」に答えた動きである(あるいはそうアスカが受け取れる)ということではないか。

ヴンターにて

のっけから新キャラ登場で???になるけれど、総じて「シンジが状況を飲み込めず惑う」という描写であり、「シンジに周りが冷たい」ことに怒る描写であると言える。ただ、説明不足についての理由は十分ではない。そもそも、この手の描写において、説明的なセリフがわざとらしくなることは多いけれども、今回のこのタイミングには説明をする動機が十分あるので、説明できたはず。じゃあなぜ説明をしなかったのか。これは作劇上の都合でしかないと思うけれどもね。
では、14年前(あるいは14年間)何が起きたのか。いくつか謎がある。

アスカの行動

眼帯と修復プラグスーツが意味するところは何か。シンジの問いかけに「あんたには関係ない」という言葉で応答しているのは、本当に関係ないからではあるのだろう。だとすると、サード・インパクトは関係ないということになる。もっとも、破からの続きとすると当時アスカは隔離されていたからねえ。
抑圧をシンジにぶつけるアスカのいら立ちの原因は単にシンジがサード・インパクトの元凶だ、という事実にあるのではないように見えます。レイを救おうとしたシンジの行動に対してともとれるし、それが結局無意味であったという結果に対してとも取れます。ただ、総じてシンジに対する屈折した思いが見て取れます。
エヴァの呪縛とは何か。14歳しか乗れないはずのエヴァに乗り続けるための仕組み(逆に、エヴァに乗り続ける限り14歳でしかいられない可能性も)なのかなあ。となると、マリが最初にエヴァに乗ったのはいつか、というのがひとつの謎として提示されているということでもあります。

ヴンターとは何か

初号機を動力とする、というのはものすごい設定ではあります。どこにそんなテクノロジーが存在するのか。それよりも重要なキーワードは「神殺し」。これが何を意味するのかはいまいちわからない。主砲が普通の砲に見えるんだけど、使徒ってそんなものだっけ。
反重力装置っぽいテクノロジーにしても荒廃した14年にブレイクスルーするとも思えず、この世界に何があったのかという謎の大きな一部になっていると思われる。エヴァを動力とする必然性(と、その動力の実質)も謎だし、とにかくこれがヴィレの切り札になる理由があまりに説明不足。いや、もちろん力としては圧倒的なんだけど、点火しないと動かないとか、もともとエヴァって電源で動いていたわけで、エネルギー源が謎すぎる。
もっとも、もう開き直って「エヴァは未知なる力で動いていて、その力を分けてもらっているだけ」とかいう説明でもいいと思うんだけどww

Mark.9とレイ

取りついた機体を砲撃するなよwww
というツッコミはさておき、零号機みたいなMark.9。でもその実態は使徒に近い感じ。どこから来たのよこの人。それいったら8号機もか。
「碇くん、どこ?」というシンジに聞こえた声は、果たしてMark.9に乗っていたレイなのか、初号機からサルベージされていない(という想像がなされている)レイなのか。まあ、起きていることを素直に捉えると、Mark.9のレイの方でしょうね。では、そのレイは「命令だから」そう呼びかけたのか。少なくともあのレイの人格としてはそれしかありえない。ならば、シンジを回収するのが目的だったってことだよね。つまり、シンジがサルベージされたということは何らかの形でNERFに伝わっていたということだ。
従来であれば「Wille側にNERFのスパイが」と考えるところだけど、もはや超常現象バリバリになってしまってるQの世界においては「わかったんだからわかったんだな」という説明でも十分な気がする。

サクラの想い

なぜシンジがエヴァに乗ることが「勘弁して欲しい」のか。これはダイレクトに被害者意識があると考えてもよさそうです。その割には、それまでのシンジに対する扱いは腫れ物に触るようだとはいえ、優しい。例えば「兄の仇」であれば、もっと最初に時点から敵意があってよいと思うのだけど、シンジが決して受け入れられないであろう呼びかけをしているときのいたたまれなさといい、サクラ自身はシンジその人自体にはマイナスの感情を抱いているようには見えない。ただ、「シンジがエヴァに乗る」ということはあってはならないことだと思っている。その理由はなんなんだろうか。

ミサトの態度

碇シンジくん」という呼びかけは多少「パラレル」に対するミスリードではあったか(演出過多ともいえる)。もちろん直接に破から続いているとは限らないけれども、少なくともシンジがいない過去との接続ではない。
ただ、不可解な、破の最後でシンジをけしかけたこととの不整合の答えはキャラクターを掘り下げて見つかるのか、それともストーリーの繋がりに求められるのか、現時点ではわからない。

中休み

というわけで、前半のストーリー(というほどのことはないアクションシーン)を振り返ってみました。
単純な話、すごい開き直った話になっていますよね。説明がない、というのはもちろんだけど、身も蓋もない世界の変容っぷり。もとより科学的な説明は放棄されるのがエヴァらしいのだけど、違和感があるのは登場人物がその超常現象的な世界の理をどうやら一人残らず知っているように見えるところ。今までのエヴァであれば、ごく限られたものだけが真実を知っており、それが何であるかを少しずつ解き明かしていくようなストーリーだったけど、ここではわからないのはシンジと視聴者だけ。おいてきぼりを感じる要素はそういうところにもあるんじゃないかと思う。
当然ながら、NERFにおいて、過去の出来事が語られるであろう期待をしながら見るわけですが…

サブタイトルについて

(Not)がどっちにもなりうることを意味している、というのは解釈としては妥当なんだけど、では、ここで語られている物語はどっちだ、ということは簡単には決定できない。それを決めるのは誰か。たぶん、シンジ、あるいは神の目線である視聴者なんだろう。現時点までを振り返ってみても、いくつかの解釈が可能であると思う。
巷で言われているように、それが2本の時間軸とその交錯を意味するのか。その可能性は当然あるんだけれども、単に目線(あるいは視点)の違いでどちらにも見えますよ、というのもひとつの解釈だと思う。

つづく。