2013年も実名匿名論をよろしくお願いします!
新年早々また匿名DISがあったようです。
実名匿名論てのは季節物でループものなので、毎年同じ論点を延々と語るだけの話になっちゃってますが、それでも技術的な進歩にともなって、論点が整理されたりもしていきますよね。2013年はどんな匿名論がもてはやされるのでしょうか。
ちょっとあらためて個人的見解で整理してみます。
下の実名匿名論「匿名に語る資格なし」
これはいい加減問題外だと思うんですよね。冒頭のもそうですが、内容が伴っていないことを匿名だったらテキトーに言えるというのは真実ではありますが、実名だったらテキトーなことをいうことがないかというと全くそうではないという実例だらけなので、あえてここで匿名を問題視するのは全く意味が無いと同時に、根拠さえはっきりしていれば実名であれ匿名であれ十分に議論になるということです。なぜ実名でないといけないか。実名には社会的地位の威光が通用するが匿名には通用しない、だから匿名に根拠持って語られると困る、という意図が見えてしまって随分貧相な論客であることを露呈するのでかえってマイナスだと思うんだけどな。引用した発言も、「実名で来い」がなければ妥当だと思うんだけど。
中の実名匿名論「匿名の誹謗中傷を許すな」
資格の問題よりはまだこの方が高等な問題提起に思えます。事実、匿名であることをいいことに好き放題やっている勢力ってのはたくさんいますよね。大事なのはどんなに「誹謗中傷大好きな実名さん」がいたとしても、匿名の誹謗中傷を擁護する根拠にはならないってこと。多分、今誹謗中傷している人の中で匿名での書き込みができなくなったらやめるという人は相当数いるだろうと思われます。
ただ、元々そんな程度の人がやっている低レベルの誹謗中傷なんてそれによって世の中の評価が動くほどの影響力をもっていないわけで、それと引換に匿名が持っているメリットをすべて奪うなんてことが許されるかというと僕はそうは思いませんけどね。実名のほうが悪質だし。
上の実名匿名論「匿名であれども身元不明ではなし」
ずっと前から言っている通り、僕は小倉先生の言っているいわゆる「共通ID」にはそれなりに賛成なんですよね。技術的なデザインができていないから実現は今のところ不可能だけど、世の中facebookアカウントやtwitterアカウントでの認証が広まってきたこともあって、部分的にではあるけれども、人とIDのリンクがなされるようになってきて、古くから顕名で活動しているネットユーザーであれば、ネット上の個人としては特定されているに等しい感じです。
facebookみたいな元々実名志向のサービスでは、しかし、本音と建前の使い分けが難しいことをいろんな人が痛感していて、ネット上でリアルの人間関係を「演じる」必要があると苦労していることも多いです。
大事なのは、匿名であるとしても、身元が不明なわけではない、ということで、それを実現するためには適切にプライバシーを保てる匿名アカウントを安心して登録できる仕組みだと思うんですよね。誹謗中傷したら公的機関には身元が割れる、くらいで十分抑止力はあると思うわけで。
実名のメリットとは
- 宣伝になる
- 宣伝になる
- 肩書きを使える
- 肩書きを使える
- 宣伝になる
あえて「ウェブで」実名として活動することに何か意義があるとしたら、このくらいしか思いつかないのです。元々実名で公人として世の中を動かしている人は、ウェブだからどうのということはないでしょう。実名であることのメリットを他に知っている人は教えて。
匿名のメリットとは
- リアルでは言えないことを言える(いいことも、わるいことも)
- 肩書きや年齢に左右されない
- リアルの存在を揺るがせないからプライドが低くて済む
誹謗中傷がしやすい(これは僕はデメリットだと思う)
匿名を好き放題やるためのもの、と捉えている人にとってはこのようなメリットもデメリットに見えるかもしれない。趣味とか嗜好みたいなものは、会社のような「めんどくさくなくありたい」人間関係の中では全部あけっぴろげにするよりも隠しておいたほうが良いようなものもたくさんあります。匿名を馬鹿にする人は往々にしてそういう面倒な人間関係を持っていなかったり、堂々と言えるような趣味しかもっていなかったりしますよね。今でこそマンガやゲームが好きなんてのは普通だけど、50代くらいの人が昔そういうことを公言していたら馬鹿にさせて出世に響いたかもしれませんよね。
あらためて思う「ネットは危険」
今のウェブサービスって、自分の情報をダダ漏れにするものばかりだと思うんですよね。チェックインとかなんて自分追跡サービスを提供しているようなものじゃないですか。空き巣はお部屋の写真のExifとTwitterのつぶやきから空き家情報を手に入れられるだろうし、ストーカーは対象の行動を監視できますよね。もはや匿名でもなんでもなくて、単なるハンドルネームでしかない人も多いし、これからどんどん無防備な人が増えていって、結果としてウェブは無防備に席巻させるかもしれない。そうすると、自由な言論の場としての機能はどんどん失われていく。それを助長しているのも一部の匿名かもしれないなーとは思っているんですよね。匿名の危機は匿名から発生するのではないか。そんな気がしてなりません。