中小SIerで技術的に満足する仕事ができないという誤り

まあまずは中小の定義から。

株式会社日本政策金融公庫法等の中小企業関連立法においては、政令によりゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金3億円以下または従業員900人以下、旅館業は、資本金5千万円以下または従業員200人以下、ソフトウエア業・情報処理サービス業は、資本金3億円以下または従業員300人以下を中小企業としています。

中小企業庁:「中小企業・小規模企業者の定義」

わりと大企業のハードルは低いんだけどね。

以上がSIerと呼ばれる業界の概要です。タイトルにもありますとおり、私は中小のSIerに所属しています。中小のSIerの中でも最も下の層に位置する企業です。そのような企業ですと、基本的に派遣という形態でプログラムを作成するプロジェクトに関わることになります。

http://goranni55.blog.eonet.jp/default/2013/07/sier-b8c5.html

いっちゃ悪いんだけど、それって「SIer」なのかなあ。技術者派遣業またはソフトハウス、要は多重下請け構造の最下層ってことでしょ。もっとも僕らの普段やっているような仕事だと2階層を超える委託はダメとかあるのでそういうところまで仕事はなかなか行かなさそう。

技術的にコアな部分や、お金になる仕事は最下層の企業から来た派遣契約のプロジェクトメンバーには回ってきません。

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まず、色々ごっちゃにしちゃダメなので分けて考えるよ。
技術的にコアな部分、というのは最下層だから回さない、ということはないんですよね。技術を持っている人に回す。個人事業主っぽい人でも技術があったらコアにぶち込んで活躍してもらうし、どんなに立派な肩書がある人でも技術がなければ回さない。あなたに技術があったのであれば、他の人も同じく技術があった(つまり秀でてなかった)か、元請けが要員配置においていい加減だったか、その他政治的な理由です。
次に、お金になる仕事の話。別に個人に対してお金になる仕事だからどうとか回すわけじゃないのよ?お金になる仕事だと単価が上がるとか幻想だよね。これだけだと何を求めているかさっぱりわかりませんですね。

私の場合、社会人1〜2年目のときには何のスキルも身につかないテストや雑用をこなしていました。こういうことがしたいと思っても目の前にいるのは自分より上のランクの会社に所属している人ばかりなので、何も言えません。

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この時点でもうダメだなーって思ってしまいます。何のスキルも身につかないテスト?テストなんて業務を学ぶ一番最適な手段ですよ。雑用?派遣されてきた技術者に雑用させるなんて金の無駄遣いですが、もっと無駄遣いは使えない技術者の面倒をみてマイナス工数が発生することです。雑用させられている人がいるなんて聞くと身震いします…
そもそも会社のランクではなくあなたのランクの問題で何も言えなかったんじゃないの?とかね、どうしても思っちゃいますよね。

そのような状況が続き、社会人なりたての頃は技術の勉強に対するモチベーションが高かった私も、今ではほとんど技術の勉強をしなくなりました。規模の大きな会社に技術でもお金でも不利な状況にいるのだなと、社会を経験する中で少しずつ理解が深まってきました。それはあまり理解したいことでは無かったです。

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僕も規模的には中小レベルの会社でずっと働いてきましたが、2、3年生の頃にはある製品について少なくとも現場レベルで必要な知識についてはベンダーの人より詳しくなっていましたよ。一方で、現場で全然使わない言語の勉強を「いつか役に立つかも」とコツコツ勉強していました。結果的にはその勉強が3年後くらいに実を結び、現場に入った途端「未経験なのに有識者」という立場を得ましたw

私見では、この業界に所属している限り技術的に自分が満足できる仕事に関わることはできないと感じでいます。これは多くの中小SIerに所属する方々も同じ意見だろうと思います。

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ここは難しいところなんだけど、特にシステム開発という仕事においては技術的っていう言葉にかなり幅がありますので、なんとも言えません。僕は元々インフラ的なシステムを作りたくてこの業界に入ったところもありますので、複数システムをつなぎあわせたり上手く連携させていくような部分の仕事が好きですし、それに対する技術は必ずしもプログラミングの技術ではなく、データフローの設計であったり、業務フローの設計であったり、リカバリーの設計であったりという部分です。大きなアーキテクチャを考え、それに従ってシステムが開発されていく部分を楽しいと感じるわけですね。浮き沈みは有りますが、大きい仕事をしたときは満足感が有ります。
一方で、非技術的な仕事を沢山背負い込むことも多々有ります。でもそういうことを含めてシステム開発であり、「SIer」であるんですよね。そういう仕事だっていうことを自覚して、技術を磨き、いい元請けに出会い(いろんな現場で光る仕事をしていれば必ず縁があります)、大きな仕事を目指していく。これが中小SIerとしてやりたい仕事に近づくコツであり、最終的にはステップアップが必要であれば転職(できることが見えていればかなり売り手市場)も可能なんだけどなー。

というわけで、原因は中小SIerに所属しているからではなく、自分が満足する仕事というものがきちんと定義をできていないか、それとも向いてないかのどちらかなのではないですかねえ。