新聞についてもう少し

時事ネタでもないエントリにそれなりの反響があると素直にうれしいものですね。それはさておき前回のエントリについて少し補足的に。
id:otsuneさんからコメントいただきました。

# otsune 『>社会の関心ごとを横断的に取り扱う単一のメディアというのは新聞がもっとも優れていると思います。
これは当然「私の価値観では」という文脈だと思うのですが。
id:NOV1975さんの考える、もっとも優れていると思われる具体的なポイントを書いてもらえると、さらに役立つエントリーに成るだろうなぁと思いました。』 (2006/12/15 05:23)

どきっとする一言です。わりと断定的に書いてしまっているので、もちろん「私の価値観では」なのですが、理由はあえて書いていなかったりします。なぜかというとエントリ自体それほど時間をかけずに殴り書きだったというのもありますが、そこが焦点になる、あるいは突っ込みポイントになってしまうといやだなあという逃げの思いにより書かなかったのですね。そのへんの価値観は多様だと思いますし。ただ、せっかくコメントも頂いたのでもう少しそのあたりの点について書いてみたいと思います。
他の方のコメントでも結構「読んでない」ということがわかります。ただここでコメントをつけていただいているような方は自分の関心ごとに対して方向付けができていて、そこについて情報を日々アップデートしている方だったり、ウェブなどのメディアを最大限有効活用している方だったりするので、前の記事でターゲットとしているところの「社会で起きてることに関心がない」人たちではないと思います。
さて、「もっとも」と言ってしまいましたが、相対的に見て優れていると思われるのは確かです。と言うわけで、皆さんのイメージと合致するかは気にしないで優れたポイントをあげてみようと思います。

  • 大きい⇒一度にぱっと目に入る情報が多い。
  • アクセス性能がよい⇒紙媒体でぱらぱらとめくれる
  • 多様なカテゴリの記事がある⇒社会面・経済面・文化面など毎日ほぼ一定のフォーマットでカテゴライズされている
  • 毎日発行される

これらの点を総合すると、新聞の特色を直接他のメディアで代替するのは結構難しいんじゃないかと思っていたりします。人間が一度に処理できる情報量は結構多くて、ひとつの記事を読んでいる間に目に入った違う記事にひきつけられたりというのは紙媒体ではよく起こりますが、ウェブのメディア系サイトなどでは見出しの一覧から単一の記事のページの飛ぶのがせいぜいで、そこでは記事の内容より広告に目が行っちゃったりとか。もちろん、新聞だって全部のページを読む人のほうが少ないでしょうし、そういう意味では好きな記事だけをウェブでさらって読んでいることとそれほど変わりはないのかもしれません。が、段組があっち行ったりこっち行ったりする構造的にもいろんな所に目が行きやすいというのは面白いですよね。
子供のころ、新聞を読むといったらテレビ欄とスポーツ欄。社会面も読むときは読んでいたかもしれませんが、1〜3面なんて「読んでる振りをすることでできるサラリーマンをアピールできる」ネタが頻繁に使われるくらい世の中的にも「読む人しか読まない」と思われていた存在だったような気がします。昔から実は読む人しか読んでいなかったのかもしれませんね。ただ、ほとんどの家庭に新聞は存在し、暇つぶしにでもぱらぱらとめくってみるということはよくあったと思います。そんなことの積み重ねもそれなりに意味のあることだったのでしょう。新聞がなく、それでいて自分でニュースを求めないと、そんな情報すら入ってこないことになります。ウェブは自ら情報を求める人以外の役にはあまり立たないものですね。
とはいえ、新聞という形式が次第に古びてきたのも確かなことです。また、新聞社ごとのバイアスもどうも最近特に大きくなってきたように思えます。特定の新聞を取っていると特定の角度でしか社会のことがわからないようになっている。では、ウェブはどうかというと、技術的にはまだまだウェブの世界は過渡期にあります。ソーシャルブックマークやニュースサイトで選び出される情報はやっぱり偏っていると思いますし、新聞社のサイトも一覧性はありますが、紙媒体ほど「ぱっと見」性がない。
というわけで、それほど断定的に言い切れるような理由があったかというとそうでもないとは思いますが、新聞というメディアの特色が未だ他のものでは代替されていないというのを僕は感じています。これからどういう形で真に新聞に変わるメディアが作られていくのか、あるいは必要ないとみなされ衰退していくのか、もうすぐ結論はでるのか、実はすでに出ているのか、新聞の中の人の話も聞いてみたいですね。