実名ってなんだろう

実名でというところの実名の効用は大半の場合は顕名で満たされ、いわゆる名無しさんであるところの匿名とはわけが違うと言うのは結構説得力のある話なのですが、じゃあ本当の実名を使うことで何が嬉しいんだろうと考えているところで以下のような考えを発見

「全員実名なら隠れ蓑は存在し得ないので公平」みたいな議論はされてる?されてないよね?議論するまでもなく珍名さんが不利なんだから。

匿名を隠れ蓑に云々で卑怯 - annnnnnna’s diary

おお、確かにそうでありますな。実名で活動することが到達可能性を高めることであれば、あまりにも一般的な名前の人は本人に到達する可能性や掛かる時間が制限され、あまりにも珍しい名前はうまくすればすぐに特定できてしまう。これは果たして公平なのか。
そもそも、犯罪や誹謗中傷対策としての実名はその犯罪を調査する人に対しての到達可能性があればよいわけですし、直接本人の家に行って殴りたいという欲望は認められるべきではない。何度も述べていますが、今のインターネット利用者は到達可能性を甘く見ているから2chで脅迫書き込みして捕まっちゃったりするわけですが、それがもう少しちゃんと世間に把握されれば抑止力としては十分だと思うのです。
一方で、公平なやり方で全部実名でということであれば、本人を同定しうる最低限の情報としては名前では不十分なわけですし、到達可能性を平等にするならこれはもうその他の個人情報まで晒すしかないわけです。それで事件がおきないなんてどんなユートピア?ネット上での誹謗中傷より酷いことになるに違いありません。
前にも述べましたが、インターネットが今の状態のままずっと野放しにされることはありえないと思っています。しかし、その管理・制御の方法が「実名を使うこと」ではありえないと思います。なぜなら名前以外の個人データを伴わないと有効でないから。
それでも実名には匿名や顕名では成し得ない、このデメリットをも凌駕するメリットがある、というのであればそれが聞きたいですね。もう一度いっておきますが、犯罪への対処であれば、精々銀行口座と同じくらいの精度で本人確認をして利用登録をするくらいの仕組みで十分であると思います*1。私的制裁や逆恨みによる逆犯罪などをどうやって抑止するかを考えないで自己責任以上のものをネット論者に求めるのであれば、それは極端に言うと「(犯罪的書込をしてなくても)道端で襲われても自己責任、その覚悟が無い奴は一切ネットで書き込むな」と言っているのと大して変わりがないように聞こえます。

*1:逆にそれ以上の仕組みを求めるのであれば、既存のそういった個人情報確認システムも考え直した方が良いですね