著作権法の非親告罪化はチャンスかも知れない

本日沸騰した話題ですが、発端は【著作権】とんでもない法案が審議されている: たけくまメモになりますので、とりあえず目を通していただくとして。まあ正直このエントリを読んだだけでは何がどうなっているのかさっぱりわからないわけです。周囲の反応としては否定的なものがほとんどのようですね。
さて、当該エントリには以下のように書かれています

政府の諮問機関である知的創造サイクル専門調査会が「海賊版対策」としてこの問題を取り上げ始めたのは昨年11月の第8回会議が最初だそうです。

【著作権】とんでもない法案が審議されている: たけくまメモ

海賊版対策といいつつ、本丸はP2Pのような気がしてなりませんが、いずれにしても、海賊版については多分取り締まられることに異存がある権利保持者はいないんじゃないかと思います。いるとしたら、権利関係が複雑すぎてぜひとも広まって欲しい自分の作品が世に(主に海外に)出回らないとか、ビジネス上の理由で(廃盤とか)で商品として市中にないものをなんとか世界に広めていきたい、そういう人だけでしょう。
そもそも、警察が何を取り締まることができるか、というと明確な基準としてはやはり「商品」になるわけです。商品以外での取り締まりは困難です。そうでないと、こんな個人のブログも含め、「公表された」著作物を全て同定でき、また何%一致したら、というような明確な基準を作らなきゃならなくなりますが、それは無理と言うもの。ということは、常識的に考えて、取り締まりに値するのは「著作財産権の侵害」行為に対して、というところが妥当な線でしょう。それも、既に商業的価値が発生しているものに限られるんじゃないかと。ここで重要なのは、どこに線が引かれるかと言うこと。表現の模倣やセンテンスの引用などまで警察が判断できるとは考えづらいので、やはりほぼ丸コピーでかつ販売されることが要件になるのではないでしょうか。
となると、ここで適用除外されたものは逆に「親告罪として訴えが無いと警察は動かない」と認められたものになるわけです。もっと推し進めていけば、この要件にあたらない場合、原則として使用料を払うことで利用可能とする、と言う所まで持っていけるかもしれません。
他の人の意見に比べて非常に楽観的に考えているとは思います。これを機にインターネットを初めとした「物言える世界」の統制を図っている、という可能性も否定できません。ただ、詳しい情報が全然出てきていない状況で、ただ「警察が恣意的に取り締まる」というイメージだけで反対しているのでは「海賊版野放し」を追認することになってしまう(というと言い過ぎなのはわかっていますが)と言えなくも無いわけですから、ここでもう少し著作権が今後どのようにあるべきかを考えてみるのもよいのではないでしょうか。
とりあえず僕の考える要点は以下。法律には素人なのでイメージ的なものですが。

  • 非親告罪化される対象が、財産権であり、具体的には商品であること
  • それ以外は従来どおり親告罪であること。
  • P2Pでの流出などは、保留。利益目的ではないが明らかに財産権の侵害(個人的には親告罪が妥当かと思う)。
  • 引用の要件が明確であれば、従来どおり侵害にはならない(対JASRAC的にこのへんの基準を議論の中で明確にして欲しい)
  • パロディーやリスペクト的使用(場合によってはパクリとも言う)については親告罪以外ありえない

あくまでイメージね。最後に、著作権全体の非親告罪化にはもちろん反対です。言葉狩りや検閲よりも更に悪い話です。まあそんなことやったら警察の身内からバンバン検挙していかないと示しがつきませんけどね。きっと。