裁判員制度のこれはキモイ

裁判員制度って言えば、どんなときに拒否できるかがクローズアップされていますよね。あれはあれで、別の意味で公平さを欠くやり方だと思いますが、それよりも、こんな話があるとは。以下の一連を。

検察側が「警察官」を証人として出廷される時に、裁判所に対して裁判員候補に対して「あなたは警察官の捜査を信用していますか」と質問させることが出来る。「いや、信用ならないですね」と答えると「公平な裁判が保障されない」と検察官が判断して最大4人まで理由を示さずに「忌避」の手続きを行うことが出来るというものだ。

裁判員制度の知られざる「罠」、裁判員面接で思想チェック - 保坂展人のどこどこ日記

私たちは「裁判所が公平な裁判をするかどうか」を問うているのである。「公判前整理手続き」という名で「裁判迅速化」が進み、「厳罰主義」の風潮の中で「被告人」「弁護士」は、検察官と対等に選任手続きに臨めるだろうか。たぶん、昨日のブログで紹介した「質問案」を見て、私は背筋が寒くなって鳥肌が立ってしまった。それは「直観的」「感覚的」なものかもしれないが、公権力が国民をくじで呼び出しておいて、「警察を信じるか」「死刑についてどうか」と思想・信条、内面の関わる質問をしようとしていることに拒否感が強いのだ。

裁判員制度の知られざる「罠」、裁判員面接での選別の論理 - 保坂展人のどこどこ日記

この場で、真実の内心を語らずに裁判員候補者が虚偽の陳述をした場合には、「30万円以下の過料」(裁判員法82条)、あるいは「罰金50万円の刑事罰」(81条)という制裁が待っている。

「裁判員制度の知られざる罠」への反響の声 - 保坂展人のどこどこ日記

これは酷い。何しろ嘘ついたら罰金。本当のことを言うと止めさせられるかも。そして、その内心については、国のお墨付きが得られた当人の政治的思想信条であることが世の中*1に喧伝されてしまうわけです。そもそも、真実の内心ってさ、生まれたときからもつ永遠不変のものでもなんでもないし、嘘をつくことに大して罰金払ったり、ことさらにそれが自分の内心であると国に認めさせなきゃならないわけ?そもそもこれって憲法違反じゃない?だって、内心はあくまで内心であるからこそ内心であるわけであって、暴露することの強制ってどう考えても内心の自由を侵しているじゃないですか。
結局この制度は国民の権利を守るものではなく、都合のいい社会に国民を巻き込んで、当事者意識を持たせることで、逆らうことを難しくしようと言う意図で行われる、といわれても否定しづらいですよね。これでついでに反権力主義者としてマークされちゃったりしたら踏んだり蹴ったりですね。まさかそれを炙り出すための制度じゃあるまいけれども…

*1:ここでいう世の中は、裁判員で会社お休みなどを言ったであろう自分の周辺ね