原則と感情

例えば仕事で大トラブルが発生したとき、それをリカバリーするための残業を命じられれば従わなければならない。で、その残業に対しては残業代が出なくてはならない。それで会社の利益が失われれば、ボーナスは出ないし、トラブルを起こした当事者なりプロジェクトなりの評価はどん底になる。と言うのが、普通の会社ですから、社会保険庁の件で、宙に浮いた5000万件を回復するために行う作業について、残業代を払うな、というのはもちろん原則としておかしい話です。
ただ、ここに「無駄遣い的投資」「横領事件が多発」「民間に比べてちゃんと働いていない(ように見える)」「責任を誰もとろうとしない」というネガティブな話が積み重なってくると「自業自得なんだから残業代なんて払うべきではないんじゃないの?」という原則と外れた、一見合理的だけれども、実際にはそうではない解決策を提示してしまいがちです。これは主に自分が被害者*1であるという怒りから来るものでしょう。
普通の会社だったら、リカバリー出来ないトラブルだったら潰れてしまうわけで、そうすると路頭に迷うわけで、それを回避するために持ち出しで作業するのは、自分の将来に対する投資かも知れません。だから、原則から外れていても、やるかもしれないし、あるいはそれは人間関係の問題だったりするから常に否定されるべきことか、というとそうでもないですから、そのような特殊な事例に該当すると主張しているともいえます。
そんなときに、合理的な説明のみでことを済ませようとすると「税金ドロボー」といわれるし、なかなかお役所も大変ではありますが、お給料まで法律(?)で決まっているんだからしかたが無い。誠実に仕事をしてみせ、冬のボーナスにしっかりとペナルティーが付き、みんなが納得するだけのことをやり遂げれば、非難の声も少なくなるんでは無いかと思います。
一つだけ疑問なんだけど、全員とは言わないけれども、貰った給料に見合った仕事をちゃんとしていたんだろうか。ちゃんと仕事をしていないことがこの事態を招いたんだったら、なんらかの責任の取り方の提示(降級されるとかね)がなされたら、もう少しみんなの感情が収まるように思えるのですが…どうなんだろうね、実際。

*1:実際に被害を受けてなくても税金がとか俺は民間でこんなに働いているのにお前らはみたいな意識でもあります