お気楽批判の続き×4

ちょっとまじめに。

もう一度読み返しましょう。私が今回のやり取りの最初に書いた「小倉さんへの異論が批判力を持たない理由」というエントリでは共通IDの話をしているのです。なぜならその中で私がピックアップした方々が皆、小倉さんの共通ID構想について言及しているからです。私は最初から「共通IDの話」を中心としてエントリを書いています。

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僕の「簡単に実名を出せってっている方が、そのことによるプライバシーの危機に対してお気楽であるように思えます」に対する「まず共通ID制に関して言えば単なる実名登録制度に過ぎませんから、」から始まる文章に対して(僕は)「共通IDの話をしてないからね。」という応答をしているわけだから、いちばん最初のやりとりに僕が登場していない以上は、僕とのやりとりとは関係ないと言うことも出来そうですが、それにしても「匿名問題を扱った幾つかのエントリをめぐって、一部の方々が異論を唱えていらっしゃいます。」という話に対して、みんなが問題にしているのは小倉先生が「実名にすべし」といっている、という話だ(つまり「実名にするくらいだったら現状維持の方がマシだ」と言いたい)、ということを無視して、自分は共通IDの話をしている、と言われても梯子を外された感しかありません。

うーん、反論になってないというか・・・。私はNOV1975さんが「簡単に実名を出せってっている方が、そのことによるプライバシーの危機に対してお気楽であるように思えます」とおっしゃるから「でも皆実生活で簡単に実名出してるでしょ」と言っているだけの話です。

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でもコンビニでは名乗らないでしょ。ところで、本当に「簡単に実名を出している」のですか?必然性が無いときも実名を出すのですか?
僕はネットで議論をするのに実名を出す必然性を感じません。コンビニで買い物をしたり、居酒屋で隣のおっちゃんと話すときと同じくらいの感覚でいけないとは思っていませんから。

実はこの「根拠」、他の個人情報を扱う事業全般にも当てはまるからです。

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事業には、個人情報を使用しなければならない必然性があります。でないと成り立ちません。だから、あの手この手でやってくる魔の手をあの手この手で払いのける必要があり、それは事業の一部です。そして、事故がおきたときの損害は保険でカバーされるようにするし、盗難などのリスクは利用停止再発行で最小限に留められます。システムでカバーしきれないところを運用でカバーしようと努力できている。だから、成り立っているのです。
実名と人生の再発行が簡単に出来ない以上、「個人情報を扱う事業」と同一視は出来ません。よって、単純に他の事業に当てはまることをもって「他では出来ている。だから「進めるべきではない」と主張するのは誤り」と言ってしまうことは出来ないと思います。

もう一度読み返しましょう。私が今回のやり取りの最初に書いた「小倉さんへの異論が批判力を持たない理由」というエントリにおいてekkenさんが「つまりいくら共通ID制度が実施されようとも、登録された情報が虚偽のものである可能性は捨てきれないし、その発言が登録された本人のものという信じ込むのは危険ではないか、ということ。」とおっしゃっているセンテンスを引用しました。

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ekkenさんが言っているのは

ところが、ネットの世界って抜け道が簡単に見つかる場合が多いものでして……
システム自体の穴だってあろうだろうし、ソーシャルハッキングのような手口もありえるだろうし。

実名と匿名が混在する現状では、顕名という道を選ばざるを得ない:ekken

ですから、「完全無欠で無いから欠陥がある」じゃなくて、「最初から穴だらけ」って言っているように思えるんですが。「完全無欠で無いけど実用に耐える(例外は運用でカバーできる)」であれば、実現可能な提案として前向きに検討されていると思います。

日本の法律は海外には適用できない、したがってサーバの拠点を海外に移せば対処しようがないというご意見ですね。「彼のそれに対する確たる言説はまだない。」とおっしゃっていますが、実はこの件に関しては随分前に小倉さんはエントリを書いていらっしゃいます。

実名と匿名が混在する現状では、顕名という道を選ばざるを得ない:ekken

小倉先生のあれは

すると、私が提唱するプロバイダ責任制限法の改正がなされた場合、利用者の個人情報を直接または共通IDを介して間接的に把握しない海外拠点レンタルサーバにて名誉毀損発言が行われたときは、日本法が適用される結果、当該サーバ事業者は幇助者としての損害賠償責任を負うことになります。
したがって、拠点が海外にあるからというだけでは、名誉毀損発言をしたくてたまらない利用者を集めるためにあえて共通IDを利用しないという営業政策をとるのはリスクが高いということがいえそうです。

Annex de BENLI: 海外に拠点を置く事業者と共通ID

を文字通り受け取ると「プロバイダ責任制限法の改正がなされた場合、全世界のサーバー業者が日本での訴訟リスクのために共通ID機能を使用する」という論であって、何人かが指摘していた「全世界で適用されないと意味が無い」に状況が合致します。さて、現実的に可能かどうか。むしろそのような法改正が世界からの圧力によって潰されそう…ってのはさすがに無いとしても、接続拒否をする国が多数出てきてもおかしくありませんね。ネット鎖国日本。あと「「被告小説の印刷が行われたのが我が国であること」との点を重視すればサーバ所在地法が適用されるのかということにもなるかも知れないですが」についてはそれだけでスルーしてしまっていますね。
まだ未知数な話なので、なんとも言えないですね。