偽装請負についてちょっと

某会長の会社がやっていることなんてのは話を聞く限りでは完全に過剰なコストカットのために行われているように見える。企業のリソースを人も部品と考えると、カンバン方式ってのと派遣ってのは対して変わらない。いちばん良いのは待遇が悪いところには供給しないことなんだけど、生活がかかっているからそうも言ってられない。
で、ろくな競争にもならないというか、売り手市場のはずなのに、なぜか売り手側が悪い条件に甘んじなければならない現状があって、その挙句が偽装請負に繋がっているのでしょう。本来、派遣は雇用調整なんだから、そのメリットは、「直接社員として雇うのとコストがとんとんだったらいつでも減らせる分だけ便利」ということに尽きます。デメリットは経験が継続しないこと。そのデメリットをなくしてさらにコストもダウンってのは派遣の本来の目的から言うと本末転倒で。
ところで、IT業界も偽装派遣の温床ではありますが、必ずしも、待遇が悪いわけではありません。それは仕事の構造上、実体として偽装請負になるようなこと(例えば指揮系統を飛ばして指示とか)をせざるを得ない場合があって、そのことを持って偽装請負と言うことはもちろんできますが、多分、いわゆる工場とかで起きている偽装派遣とは話が全然違う。まあ、一部の過酷な現場では実体としてはどうか、というのはありますが。でも、これは非常に日本的な考え方かも知れない。「文書で合意した責任の取り方」は、大抵の場合、「契約するときは納得だけど実際問題が起きてみると不合理」なことがあります。範囲外だから知りません、なんて言ったら次の月仕事がないかもしれない(態度が悪いからクビになるのではなく、トラブルが解決せず、元請ごと切られるとか、プロジェクト中止になるとか)。
そんなわけで、仕事の請け方のバリエーションが少なすぎるのが偽装請負になっちゃう原因の一端ではあるかなと。でもその辺って雇用側の無理難題の押し付けにも繋がるから簡単な話ではないね。
仕事は仕事と割り切っている人と仕事は趣味的な人とでも認識に差が出るだろうし…
いずれにしても、必要以上に低い待遇で仕事をすることを強いられている現場は、偽装請負の実態が派遣である以上、改善されなきゃならんと思う。せめて個々の待遇が派遣と同程度であれば、と思うけれども…