ユーザーの権利ってなんだろう

そもそも、著作権の問題が色々と揉めているのは、「売れなくなってきている」からなんだろうか。70年って話は売れてるものについて、ユーザーからいつまでも金を奪い続けたいってことだろうし、DRMとか補償金は、売れなくなることを防いだり、軽減したりしようとしているってことだよね。
70年の話については、僕はそもそも根本的な点で疑義がある。消費財じゃない以上、需要というのはそれを見たり聴いたりしたい人の数の総数だし、これから先、地球上(なんなら宇宙に行っても良いし、宇宙人がやってきてもよい)の人口が増え続けなければ、全世帯に行き渡った時点で終了。まあ、「24bitマスタリング紙ジャケ」とか言って売れたりもするのでわからないけど。単純に考えるとそうなる。すると何が問題なのかな。まだまだマーケットに潜在能力がある、っていう点では、そりゃ一昔前はビデオなんて1万以上するのを買うくらいだったらレンタルするわけで、手元においている人は少なかったけど、今DVDがこれだけ売れてるってことは、50年後は「なつかしの名画を廉価で」なんて商売にならないかもしれない。どうでもいいけど。
じゃあ、DRMとか補償金の話。http://d.hatena.ne.jp/bn2islander/20070907/1189173772を読んでちょっと考えた。ユーザーの権利や利益ってなんだろう。僕が考える、コンテンツに対するユーザー側が求めるもの。

  • 適正価格での提供
  • 入手可能性の担保
  • 入手したものの自由な再生 ※あえて再生、としたのは利用とすると範囲が大きくなるから
  • 譲渡の自由

これが最低限かな。この先に、二次利用の話とか、難しい問題が横たわっているけどそれはおいとく。
すると、DRMは最初のものを除いて、全てのものを否定する。しばらく流行ったネット認証なソフトみたいなのって、認証先がパッチを提供せずに潰れたら、買ったものの価値はなくなるし、入手も困難になる。かといって、著作権が切れるまでは私家版パッチは厳密には違法だろう。アプリケーションなんかは、最初っから譲渡に対しては制限事項が契約としてあったりするかもしれないけれど、音楽や映像メディアはどうだろう。
補償金はどうかな。なるほどiPodとかその他のメディアプレイヤーの価格は上がるかも知れない。正直PCは勘弁してもらいたいよね、企業で使う人なんかは。PCなんてのは基本的にそこにメディアはあるもの、としてしまえばよい気がするけど。PC持ち歩けるならメディアも持ち歩けるでしょ。持ち歩かないかも知れないけど。で、ある程度補償金の行く先がわかった(公正である)状態であれば、価格にはねると言ってもそれは適正な話であろうし、であるならば、残りのいくつかの事項を満たしてくれる補償金の方がよいのかも知れない。ものには程度というものがあって、度を越える、ということは反発に繋がるけど、僕たちユーザーとして、ある程度納得のいくものであれば、お金を出すことに異存は無いはず。払ったものがゴルフ代とか銀座のクラブ代とか自家用車とかに化けなければね。
そう、権利者側が、僕たちを泥棒かも知れないって思っているのと同じくらい、ユーザー側も、権利者が泥棒かも知れないって思っているんだよ。数はこっちが多いけど力はあっちが強いとなると、普通の殴り合いをやってもしょうがないからさ、お互い泥棒はやめましょうってしていくしかないよね。
そういう視点から考えると、DRMは「泥棒に見せるコンテンツはない。悔しかったら金払え」だし、補償金は「みなさんの中に泥棒が居るかも知れないから、盗難保険積み立てましょうね」みたいなものかな。
お互い正直な関係になれれば一番良いのだろうね。アーティストなどと直接やりとりできればよいのかも。でも、アーティスト個人との密接な関係が常に欲しいわけでもないし、繋がりの浅い関係を仲介するためのレコード会社みたいな存在でもあるわけで、無碍には否定できない。
お金が絡む問題だから、仲良くやっていくのは難しいかも知れないのだろうね。