本音で作る、元気な社会

殺伐とした社会の間違いだろー、というセルフツッコミはさておき。
ウェブでの発言は「あ、これオフレコね」ってのが効かないから、どうしても全てを嘘で塗り固めるか、ガチトークにするしかない、というのが実名論者の弱点です。「ここだけの話」フィルターを通り抜けてしまえば後は引き返すことのできない明日へのダイビング。正直、尊敬します。
大抵の人は、本音と建前を使い分け、必要以上の波風を、特に感情に起因したものを、立てないように努力して生きている代償として、自由にモノが言えないという現実を是認しているのです。
それだけに、ガチなトークが可能な分野では必要以上に攻撃的になったりもします。問題は、大抵は分野が被らないから相手が引いて終わるのですが、一度分野が被ると尊厳をかけた決闘に至ることがあるところで…まあ普通の人はそこまで行きません。どうしても納得行かない気持ちを秘めたまま一歩退くだけです。
そんな普通の人でもガチトークが可能な匿名の仮面。決闘して敗れても別の仮面で再登場可能!まさにゲーム世代の我々に相応しい!
…本当にそんなものが必要か、と問われると、僕はそうでもないかな、って思うのですが、それは僕が大して周りに波風を立てるようなことを書いていないからかもしれませんね。
ウェブに限らないのですが、コミュニティーには個人の顔を要するものと要さないものがあって、それらは渾然一体としています。肩書きに左右されないことが重要なコミュニティーでは肩書きを伴う個人情報はむしろ忌避されることがあります。そのことは不健全でも何でもないけれど、それは逆に言うと、個人情報を得てしまうとそれを先入観としてしまうという宣言でもあります。
ウェブが力のあるメディア足るには、個人の本音ではなく、誰だかわからないけど説得力のある意見が力をもつべき、と思うことがありますが、人々のリテラシーというのはそれを是とするレベルではないだろうな(人々には当然僕も含まれています)、と思ったりします。
ウェブが実名空間を持つことは、良いことだと思うのですが、まだまだネットについての教育も不十分ですし、実名同士の殴り合いはスポーツの域に達するほどの洗練を見せてくれませんから、ちょっと時期尚早なのかなあと現時点では思います。
本音だけ述べて殺伐としないってのがイマイチ想像できないのですよね。