弁護士の職務ってなんなの?

元少年(このいいかた変だよね?)が真実として語ったんだから弁護士を責めるのはおかしいてきな意見を目にするたびに少し思うことが。

  1. 元少年の出鱈目に騙されるほどバカだった
  2. 元少年の出鱈目を利用してやろうと考えた
  3. 元少年に「今のままでは死刑確実だから」と出鱈目供述を持ちかけた
  4. 元少年がそれまで受けていた弁護が一方的に罪を認めさせとにかく反省しろだった。少年の話は真実に思える
  5. 元少年がそれまで(略)だった。少年の話には真実性が認められないけどそう言っているのだからしょうがない
  6. 元少年がそれまで(略)だった。少年の話には真実性が認められないけどこれを利用してなんとかしよう
  7. 死刑廃止と死刑を逃れたい利害が一致した。死刑にならないなら何でもやるぜ!反省はしていない

etc...
4以外は弁護士がバカと言われてもしかたがないような気がします。
弁護士をかばう意見を見ると
「以前にもこういう戦略をとって、結果として反省せず野放しになった犯罪者がいるんだろうな」
と思い、弁護士を貶す意見を見ると
「そうはいっても主張を認めてもらえずやってもない罪で反省した冤罪被害者がいるんだろうな」
と思ってしまいます。難しいものです。
ただ、一つの問題として、こういった個別の事案について弁護士はある程度真実性の追究というものをしなければならないわけですよね。例えば再鑑定の結果を評価したりすることを通じて、やっぱり被告人の主張が間違っていることを確信した場合、それでも被告人のいうことをあくまで守らなければならないのだとしたら、弁護士法にある社会正義という言葉は捨て去るべきでしょう。
大事なことは、僕らには被告人の証言の真実性などわからない、ということです。だから、蓋然性のない仮説は社会的に異質なものとして排除される運命にあることくらいわかる頭を弁護士という人々は持っていると思うのですが。
あと、今回の事件について言えば、あの荒唐無稽な仮説を受け入れる、というのは被告人にとっては量刑を減じる手段ですが、社会的には償うべき罪を摩り替えるという風に受け取られますよね。仮にその仮説のもので、結果を予見できなかったとしても、世界がそうではないことを知った今、それで罪を減じることを主張するというのは、結果として被告に更正の余地がないことを浮き彫りにしたんじゃないでしょうか。