政治的な意図で根拠なく他人を非難するのが中傷
という言葉を「はじめての課長の教科書」で目にしましたよ。
- 作者: 酒井穣
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/02/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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さて、コメント欄がわけわからなくなってしまったのですが、正直そのまま話をするには論点が分散されてしまったような気がするので建て直し。コメント欄は一部放置しますので、ご不満な向きはこちらに「このエントリを踏まえて」コメントしてください。
論点というか疑問点整理
- 車社会との比較は稚拙なのでやめよう
- 匿名性を維持するために現実社会はネットに屈服する必要があるかどうか
- 屈服の具体的な内容は?
- 現実社会が本当に正しいの?
- 日記を保護しても誹謗中傷が回避できる仕組みは作れないの?
- そもそも現実で実名の誹謗中傷は起きないんだっけ
- 今の匿名は本当に匿名か
- 既存メディアのペンネームとは質が違う問題
- 出版社による「商売にならない」「政治的に微妙」「俺が嫌い」的発想からなる拒否は検閲じゃないの?
- ウェブでの検閲は読者が行う
- トレーサビリティーは最終的にはあまり変わらない(ただし、到達容易性は異なる)
- ネット実名化は実現可能か
- 個人情報を晒すことの問題と(ネットで活動する当人が)誹謗中傷の被害者になる可能性と、ネットにより本来「起こらなくて良い(これ重要。現実でも起きるような誹謗中傷をネットのせいにしても仕方がない)」誹謗中傷が起きる可能性、どちらが深刻?
- 日記や愚痴をネットで発言することを(結果として)制限することは表現の自由を阻害しないか
個人的な見解
現代の社会はまだ留保のない実名化を行うことが出来るほど成熟していない。多分実名化しても大丈夫な世界↓
- 作者: ロバート・J.ソウヤー,Robert J. Sawyer,内田昌之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/02/01
- メディア: 文庫
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現実的には、ちょっと肩が触れ合っただけで怒鳴られたり、違法駐車を注意した方が逆切れの被害にあう(地元民の民度の低さにがっくり来ました、この前)ような現実では、積極的に名札をつけて歩くことはしたくありません。お店とかは相手も特定の誰かなんですよね。ウェブで実名を名乗ると言うのはそうじゃないから、事故が起こったときに生活を立て直せるだけの基盤があるか、または、そのリスクを積極的に取れる人のみができることだと思っています。なので、全てを実名化せよという要求は言論の制限に思えます。
ただ、ネット言論って、もともとあった権利でもなんでもないんですよね。だから、誹謗中傷を野放しにして、あるいは助長するような行為を積極的に行うことで、自らの言論が(小倉先生のような立場を取る人たちの主張により)制限されるかも知れない、ということは常に考えておくべきです。そして、それを行わないためにも、ある程度筋の通った自治が必要となるのです。なんていうとそれも言論の自由がうんたらと言われるかも知れないけど、他の人の権利を侵すことのない範囲で自由が存在するのだと思っています。
なので、矛盾した主張をしている人がいることも事実。いわゆる「一部の人メソッド」が適用される場合もあります。でも、本当は違う属性で区別されるべき人なのに、たまたま同じ属性(つまり匿名ね)を持っていることで、その属性として括って非難されることもあります。正当な批判とそうでないものの区別が付きにくくなっています。なんかね、全員出席を目標にしているクラスが一人ぐれてサボったら、先生が「お前らみんなクズだ。お前らが甘やかすからサボるんだ!サボれないように全員学校に寝泊りしろ!」と叫んだりしたら先生総スカンですよね。
そういえば、共通IDってどこ言っちゃったんだろう。あれは匿名のまま被害者を減らせるものだし、仕掛けとして(共通IDではないにせよトレーサビリティーを上げていく方向で)きちんと考えればこんな論争しなくても解決しそうな気がするんだけど。