得をしている・損をしている

医療費を使い倒している人の話。
http://blog.m3.com/Visa/20081130/1
これ、感覚的に「ずるい」って思っちゃう人が結構いると思うんだよね。首相正しいじゃんみたいな。そういう感覚は、たぶん損得感情なんだと思う。自分は健康を保つように努力していて、万が一のために保険を払っているのに、その保険を日常的に浪費する人がいるおかげで医療の質が云々。実際には医療費を使い倒している人が得をしているわけではないけれども、こちら側が損をしていることは確実だよね、この視点では。
じゃあ、きちんと健康管理をしている人へのインセンティブを、というとそれだとセーフティーな機能を持つ保険としての役割が薄まってしまう。
そもそも、健康管理をしていることで得られるインセンティブってのは「普段健康であること」「将来のリスクが相対的に少ないこと」に尽きると思うんだよな。保険を使うかどうかの問題と、健康管理の問題は、本来別の問題であるわけ。保険診療を保つために健康管理をしましょう!ではないんだよね。
好きなように生きて、ぼろぼろになって死ぬのが本望って人がその「好きなように」を少しでも延長するために保険診療や救急医療費を使い倒す、というのは確かに健康管理をすることによるインセンティブよりも「お金は」かかっているかのように見えなくもない。でも単純に損得で考えると、健康を保つように努力することで得られる人生のほうが得だと思ったりもする。
んでもって、人生事故はつきものだ。突然疾病を得たり、事故にあったりしたときに、「あー俺じゃなくて良かった」という他の多数の人たちが気持ちよくお金を払ってくれるという状況のために、自分もお金を払っとくわけだ。
医療費を使い倒す人を見てガチで「俺は損している」と思っているのであれば、その「得をしている」生活に今すぐシフトすればその得はすぐにでも得られる。引き換えに失う物とどちらが大きいか。いや、すべての人はそんな生活をすべきではない、と考えるのであれば、人生って結構大変かも。リンク先にあるような極端に健康を損なう生活をしないことが健康的な生活なんではない。思い起こせば生活を損なうような行為なんて山のようにやってきている。どれはダメでどれはいいなんて客観的な基準を得ることは難しいから、禁酒禁煙は当然、一日の摂取カロリーも、就寝起床時間も、余暇の行為も、残業も、すべて国の定める基準内にキープしないと保険診療できません、なんて話になってしまうかもしれない。もちろん、毎晩ホテルのバーにいくなんてもってのほかなんです。
そんな話だよね。