マンガ的ステレオタイプのヒーロー像と松本復興相

どう考えてもこれはチャンス。そう思ったのに違いない。復興は容易なことではないけれども、変な利権が絡んでこなければ、やること自体は決まっている。文句もたくさんでようが、リーダーシップを発揮してやれば自然と物事は付いてくるだろう。

すでに、そのヒーロー像は決まっていたのだろう。例えば、サラリーマン金太郎のような。正義漢溢れ、行動力があり、既存の利益団体が不善を成していれば、それを突破するのに暴力を使うことを辞さない。最初はその熱血ぶりと空気の読めなさ加減にみな辟易するが、気がついたらその行動力と情熱に浮かされ、皆が付いてくる、というような。

ではいったい、松本復興相はどこで失敗してしまったのか。

よくあるパターン。利権の裏にいるヤクザの事務所に、後先省みずに殴りこむ。俺は暴力には屈しねえとばかりに、普段上から目線で話すヤクザの先を制して上から目線でモノを言う。

いや、宮城県庁って、ヤクザの事務所じゃないですから…

「ざんねん!あなたのぼうけんはここでおわってしまいました…」

マンガではなく、ゲームだったら確実に選択肢が出てくるところである。親切なゲームであれば(罠)くらいのことは書いてありそうな選択肢を思わず選んでしまった。

つまり、松本復興相はキャラ作りとそのキャラにふさわしいシナリオ選択に失敗したのだ。この後のシナリオは「東北の(既存利権の)ことは良く解らん!九州出身だから!」と言ってバッタバッタと抵抗勢力をなぎ倒し、復興の障害を取り除くはずだったんだ…でも、最初の選択肢で間違えちゃった。そして、プレイヤーの地が出ちゃった。政治家のキャラ作りなんて、体力80、知力20、敏捷度60、カリスマ100くらいのバランスにしておけばいいんだけど、知力20では罠の選択肢が消えてくれなかったのか。

ともあれ、政治家としてキャラ作りの失敗は致命的だ。相変わらず素朴な日本の民主主義では、政治家が失敗するときのきっかけも素朴である。日本の政治家はもうちょっとキャラ作りに時間をさいた方が良いと思うんだけど。あと、選択肢を選ぶときはライフライン使おうよ。