意図とは違う機能はセキュリティーホールである

うつっぽって、開設者の意図はなんであれ、

  • うつっぽいやつへの嫌がらせ
  • うつっぽいやつへ親切してあげたという免罪符

に使えてしまう、という点ではかなり問題だと思う。U2plus自体はともかく、うつっぽはそういうものだよね。
とにかく早く作る、というのは「兵は神速を貴ぶ(郭嘉)」みたいなものだけど、もとになっている孫氏の思想は戦争は最後の手段、やるなら拙速(まずいという意味ではなく早く、でも必要以上にやらない)がよいって感じなんだよね。だから、「早く至上主義」ってのは本質的に欺瞞を抱えているんだと思っている。やはり大事なのは目的であり実現手段。目的のためなら手段を選ばなかったり、手段のためなら目的を選ばなかったりするのは、時と場合により必要なことではあるけれども、一般的に言って愚策であることは間違いない。

企画の意図が実現できていたいとしても、それを上回るデメリットがあるサービスをリリースするというのは「サービスとして」は失敗であるし、社会に対してプラスの影響よりマイナスの影響のほうが大きいのであれば、はっきり「害」であると言える。
やればいいってものではないんだよ。

もはや、ウェブではセキュリティーホールを作りこむことは犯罪に近いけど、いわゆる物理的(ITシステム的)セキュリティーだけではなくて、こういう、社会的・心理的・倫理的セキュリティーについての配慮もこれからはどんどん必要になってくると思う。そういうときに「やったほうが偉い。続けて改善していけばいい」という思想を適用するのはスタート地点が完全に誤っているわけ。穴が空くのはしかたがないけれども、それがすみやかに塞げないものであれば、そもそもサービスのデザインが誤っていたんだよ。そして、デザインの再設計は容易なことではない。

だから、とにかくやる、はよいんだけれども、はじめるときにそういった各種の問題をきちんと想定して、それを起こさないように頑張らなきゃならない。もっというと、大抵のまともな事業者は、そういう部分をきちんと考えたことによって、実現不可能だろうと判断してやらなかったり、それを塞ぐために時間をかけていたりする部分はあるわけ。それをすっ飛ばして「とりあえず作る」っていう考え方は素人の発想だし、仕事。
もっとも、twitterだってそういう部分からスタートしたかもしれない。ただ、単に「面白い」「楽しい」ためのものであれば、前述のセキュリティーはあまり関係ないことが多いから、むしろ物理的なセキュリティーで引っかかることのほうが多い気はする(なぜかgmailのアカウント要求してみたり)。

簡単に総括してしまうと、「ずる」をしてはいけない。ここでいう「ずる」は、当人の意識とか利益を得ようとしているかどうかは関係ない。例え善意が駆動力であっても、肝心のところで手を抜いてはダメよ、ということだよ。目的が手段を選ばないことがあるのは、その目的自体は汎用性を持ち得ないものであって、手段の実行にともなう影響が局所的であることを前提になされる。ようは、個別具体的なターゲットによってなされるものであれば、容認されうる。手段の応用性によって、どんなに当初の目的が崇高であってもやってはならないだろう手段だって存在するんだよね。