犯罪のコスト、捜査のコスト

ウェブでの脅迫書き込みはすぐ捕まり、現実の脅迫は捜査すらされないケースの存在が続々と明るみにでています。
ちょっと昔話。まだ、インターネットがそれほど一般化していなかったころ。自らは犯罪に手を染めないまでも、好んでその類の情報を見たがるひと(アングラウォッチャー的な)って結構いたと思います。ネット歴が長い人は結構そういう人多いでしょ。隠しリンクを必死に見つけたり、パスワードのヒントを元にいろいろ調べたり、URLを変えてみたり。
でもって、IPアドレスが国内じゃダメよというサイトも多く、匿名プロキシ探して頑張ったりとか。なんでそんな事をしてたか。たぶん、利用者が少ないことからひとたび警察が出てくる事案化したら、なんらかの形で巻き込まれるだろうというあたりかな。かつては閲覧すること自体も慎重であったというわけで。
そういうのもみんながインターネットを使うようになって、無防備身元だだ漏れ時代の到来により廃れて行きました。
そう、だだ漏れなんですよね。そんな状態で平気で犯罪行為をするのは犯罪に対する意識が低いと言う問題なんじゃないかと思います。軽犯罪レベルの行為に対してインターネットは一見寛容です。たまに違法アップロードで捕まったりしてたけど、万引きするのと似たようなものだと思っている。そこに認識の甘さがあるのではないでしょうか。一方で、脅迫状をポストに投函するってのはかなり計画的犯罪の匂いが強くなります。なかなか衝動的にできないことですよね。となると、ばれないように慎重になったりもするでしょう。日本の警察は元来こう言ったことの捜査においては優秀なはずですが人と人とのつながりが希薄になってきている昨今では、なかなか不審な人物の割り出しも難しい。
アナログな手段の方が危険度が低い時代なんですよね。もっとも、デジタルの犯罪がハードルが低すぎてレベルも低いってだけです。現に、例の冤罪事件は解決の目処はたたず。
脅迫状を手書きしない、投函場所を変えるなどの手続きに当たる匿名性の確保が脅迫するスタンダード手法として確立したら、ネット犯罪の検挙率ももっと下がって行くんじゃないでしょうか。警察としてはそれでは困るんだろうけど、検挙が楽なところの優先順位が上がっているように見える現状もよろしくないのでバランスよく犯罪対策をしてもらいたいものです。
むろん、今やっているネット上の脅迫行為の検挙は意味があるとは思います。犯罪のコスト自体が低いと認識されているのは良いことではないので、生半可な気持ちでは犯罪行為に手を染めるリスクが高すぎると言うことを知らしめておくことは必要だと思います。ただ、冤罪事件や客観的にみて犯罪とは言い難いものを楽だと言う理由で検挙するのはためにならないと思うんだよなあ。