待ち行列の長さは「悪いUI」なのだろうか
なんでもUIという言葉にしてしまうこと自体が悪い風潮だと思わなくもないのですが。
最初に空港は乗客の動きを注意深く分析した。調査結果によれば、平均的な乗客たちは、到着ゲートから手荷物引渡所まで1分歩き、そこで7分待ってようやく自分の手荷物を受け取っていた。実に88%もの時間を手荷物引渡所でただ立って待つことに費やしていたのである。これが乗客の不満を増幅させていたのだ。
そこで、空港は到着ゲートをメインターミナルから離し、手荷物を最外部のコンベアに載せた。これにより、乗客は手荷物引渡所まで6分も歩くことになったが、苦情の数はほぼ0まで激減したのである。
UIの改悪がUXを改善させる場合 - A Successful Failure
これをUIの改悪によるUXの改善、と分析するのはどうだろうか。そもそも、「不満を解消する」のが「UXの改善」なの?UXという言葉もここでは軽くなっているように思える。なんの付加価値もなく、ただ体力を消耗させるけれどもそれに気づかせないことがUXである、ということであるのだろうか。これは単に「コストをかけずに苦情を抑える効果的な方法」に過ぎないのではないか。
何巻だか忘れたけど、「ラーメン発見伝」に主人公とライバルが新規出店で張り合うことになって、主人公側が用意した広い店が苦戦する、という話がある。広い店内のデメリットは、入ってから長く待たされること、人が少ない時に閑散として見えること、などのデメリットがあり、わくわく体験を求めて行列のできるラーメン屋に並ぶ客にとっては外で実物が見えないまま並んでいるほうがましだった、ということ。
- 作者: 久部緑郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/04/26
- メディア: コミック
- クリック: 9回
- この商品を含むブログ (12件) を見る