「非常識」が増える理由

「牛に比べてまだ取り扱う店舗が少ないですし、大きな問題が出ない限りは規制する予定はありません。ただ、豚肉は生食しないのが常識ではないでしょうか」(基準審査課)

豚レバ刺し 厚生省は静観も「生食しないのが常識」と担当者│NEWSポストセブン

なぜ豚肉は生食しないのか。これは知識と経験から常識になっているものではある。寄生虫とか菌とかが「いる」という理由は「知識」だけど、豚肉生食して食中毒、という「経験」はめったにない。

危険な食べ物として一般的に「常識」とされている食べ物の代表といえば「河豚」だけど、これだって昔は「鉄砲」、つまり当たれば死ぬ、とされていたわけで、それでも食べたいという人間の業を象徴している。

幸いなことに、現代の衛生というのは昔に比べたらはるかによいので、豚を生食した結果として起きる問題のいくつかは多分解消されている。でも、なぜか当たれば死ぬ可能性が高いE型肝炎の危険について無頓着だよね。これは河豚に匹敵する「毒」だと思うんだけどね。

「やっぱりやめとこう」になるためには、豚の生食の結果としてバンバン人が死ぬしかないんじゃないかと思ったりする。でも、牛生レバーの時の反応を見る限り「運が悪かった」「ちゃんとしているところなら大丈夫」という理由をつけてしまう気がする。

常識ってのはその程度のモノだから、行政主導で積極的にダメ出しをしていく、というのが公衆衛生というものだと思うんだけど、なんで事が起きるまで放置なんだろうか。薬害なんかもそうだと思うけど、問題が起きてから規制すれば済むんであれば、「省」なんて門構えの機関である必要はないよ。