あほ過ぎて二の句が継げない年金機構…

※表現がきつかったので修正しました。

これはひどい×100

こちらを拝見すると、要するにこういうことらしい。

性同一性障害で性別を変更した人の全てに、特定4桁から始まる基礎年金番号が再付番されるわけではなく、そのうち「年金分割記録を保有する者」(離婚により年金を分割した場合で生じる)について、そのような基礎年金番号が再付番される。
再付番された場合、元の基礎年金番号と2つの基礎年金番号を持つことになる。
社会保険事務所に以下の「性同一性障害者にかかる基礎年金番号付番」と書かれた用紙が用意されている。

高木浩光@自宅の日記 - 年金機構から基礎年金番号の付番機能を剥奪せよ, 追記(6月29日)

おいいいいいいいっ!番号帯で属性判別とかいまどき救いようのないアホのやることだぞ!
まずいだろこれ…

特定番号によって不当な差別を受ける危険性について、ブログ著者が社会保険事務所の職員に対して問いかけたところ、職員からは「わたしたち職員くらいにしかわかりません」と言われてしまったという。この「8500」という番号を隠し通せるとでも思ったのだろうか。

高木浩光@自宅の日記 - 年金機構から基礎年金番号の付番機能を剥奪せよ, 追記(6月29日)

これが一番まずい。「わかりません」ってお前らがわかってないだけだろ!

別にシステム的には(電算化してなくても)付番したものへの属性情報として持っておけばいいだけなので、表に出てしまう番号に対して属性をもたせる必要はないのだが、伝統的には「男は1から女は2から」みたいな付番をしているシステムもあるだろう。あるいは(一般的にそれほど害のないと思われる)生年4桁とかさ。でも、社会の要請としてこういった問題についての対応が求められている中、こんなアホな方式を採用して良しとする国の機関があるというのは想像を絶する事態だ。国関連機関の情報保持については国家レベルで厳正な基準に基づく監査がいるんじゃないか?

事情を少し斟酌してみると、既存システムには性別変更の履歴的なものを保持することができないのだろう。一般的なシステムにおいてユーザー属性的なものを増やすことはそれほど難易度の高くない改修であるけれども何しろ「あの」年金システムである。どこにどれだけ影響があるか把握できていないだろうし、改修費用もバカ高いことは想定される。属性一個追加するのにも億単位でカネがかかる可能性がある(これは今までのツケではあるものの、こいつらが悪いからといっても費用の出処は年金と国庫であろう)。
そういう事情があって、単純に付番で対応しようとした、アイディアが出た事自体は理解できる。理解できないのは「それで行こう!」と決断したことだ。例えばだけど、銀行で口座作るときに「生保歴あり」「離婚歴有り」「犯罪歴有り」などで口座番号が付番されたらたまらんだろう?(もっとも、この手の情報は表には出ない属性としては持っているかもしれないが)
これは一つには性同一性障害を持つ人の問題を軽視していることが原因なんだろう。もし、もっと深刻な問題と捉えていればこんな決断はくださない。「あんなおかしな奴らのことなんて気にかけなくてもいい」くらいの思想を持った上層部がいることすら想像できてしまう。
システム上は区別する情報を持たなければならない事態であることはわかる。だけれども、手段がなんでもいいなんてことはない。今のところそれほど対象は多くないだろうから、台帳作って運用で対処することも可能なのではないか?いよいよ手で管理しきれなくなったらきちんとシステムに組み込めばいいわけで。

ともあれ、このような付番方式を国の機関が採用することを国として見過ごすのであれば、思想の根幹が誤っているのでマイナンバー制度についても同様の不安を抱えざるを得ない。マイナンバー自体はきちんとわかっている人によって制度設計がされるのであれば今想定されている使い道の上では大きな問題はないと思っているけれども、こういった歪みが後から付与させるような不安を払拭してくれないと全く信用がならない。

今回の件は、国がどういう対応をするかという点でマイナンバー制度の今後を占う試金石になってほしいものだ。