斯くの如く、別件逮捕に使われる著作権法を非親告化すべきではない

あれだ、カバンの中のハサミで書類送検と対して変わらん。
ましてや、私的複製が制限されると、従来は認められていたから何の気なしにした行為が別件逮捕の元に。ダウンロード違法化だってこじつけられるものはいくらでもあるだろうし。

コンピューターウイルスによる被害は後を絶たないが、国内では海外に比べ法整備が立ち遅れており、著作権法違反容疑という苦肉の策で摘発した。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080124/crm0801242110028-n1.htm

苦肉の策とは言わない。ウイルス配布について罪を問えないから、「著作権法に違反していなければウイルスの作成は合法」というお墨付きだよね、これは。しかし、権利者に告発してもらったのかね、これ。

府警は「生活に密着したインターネットは社会インフラの一部となっており、ウイルスの存在自体が大きな社会悪」と判断。作成者の摘発に乗り出した。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080124/crm0801242110028-n1.htm

それ言ったら人間の存在自体が大きな社会悪、みたいな話か。もっとも、感覚的にはわかる。
ただ、昔からずーっと言われてきたけど、ウイルスってなんなのって話をきちんとしないと、「存在自体が悪」ということが恐ろしい結果を呼ぶよね。「HDDを簡単にフォーマットするツール」は「パソコンのデータを破壊する」ツールであるだけだけど、それを間違って実行されるようにして頒布した場合、頒布者がウイルス作者なのか、ツールの作者がウイルス作者なのか。ITに携わっている人の常識としては辛うじて前者が犯罪者だ、って言えるって程度だと思うのだけど。
ただ、「テストツールとして作ったウイルスが流出した。ばら撒く意図はなかった」というのはそろそろ通用しないのは確かに「社会インフラの一部になっている」のが要因として大きい。ちゃんと隔離してなかったから「天然痘ウイルスが散布されちゃいました。えへ☆」なんて言い訳して許されないのとそろそろ一緒だろうね。
んで、確かに複雑な話ではあるんだけど、その別件逮捕のネタにされてしまう著作権法って…怪しい人を手当たり次第著作権法別件逮捕してHDDの中身全部だせみたいな未来になったら目も当てられませんな。