月刊ヤングジャンプの「ボウフリ先生とワタシ」がすごい!

これは対象読者限定記事です。どういう人が対象かというと

これにピピっと来た人だけですw


たまたま暇つぶしでコンビニでぱらぱらめくっていた巻末に載っていたコレ。月例グランプリの優秀賞ということで。
コンクールを目指す熱血先生が突如クビになってゆるーい教頭先生が顧問に就任、コンクールに出ないことを通達するところからスタート。誰もが知っていて、でも居たことがないとわからない吹奏楽部の世界をまったく説明なしに描ききるというチャレンジングな漫画はこうしてはじまります。

当然のごとく文句をいう部員たちに教頭先生が通告するのは「一曲だけの、"有料"演奏会」をやること。さらに文句をいう部員たちが垣間見る教頭先生のなんだかわからない怖さ。それに圧されて引き下がってしまいます。
だれる部員たち。コンマスで普段バンドを指導している主人公のダレ具合がよくわかるのが冒頭で示した絵です。ってもやってないとわからんよなw
曲は「アルメニアン・ダンス パートI」、その一節に8分の5拍子の3+2、2+3の組み合わせで進行する部分のアレ。ちなみにこのマンガの注はこの曲の紹介とそのCDで演奏している団体の紹介以外には一切ありません。もちろん、吹奏楽をやっていてこの曲を知らない人はレアだと思いますし、その中でもこの一節は12,123,123,12と誰もが歌ったことでしょう…。
レダレの主人公にCDを押し付ける教頭先生、不満げにそのCDを聞き始めた主人公は突如何かを感じて豹変してしまいます。

それを見て隠していた本性をさらけ出す教頭先生。実はかつて熱血指導教師であった教頭先生は全国で金賞を取ることを目的にすることで実力のある子供たちの芽を摘んでしまったことを後悔していて、減点法で評価される音楽ではなく、観客が興奮する音楽をやりたいと感じていたのでした。コンクール前はいつもギスギスしていたはずの吹奏楽部がゆるく見えながらも真剣に音楽をやっているように変貌しているのを感じた主人公はコンクールへの未練を吹っ切り演奏会に向けて気持ちを新たにするのでした。

かくしてたどりついた演奏会、なぜか業界の名士だったらしくプロ奏者が沢山やってくる演奏会に緊張する面々。

「俺の音楽を聴けっ!!32分休符一つまで!!あますところなく!!」

教頭先生はド迫力の指揮でバンドを別世界に引っ張り上げるのでした。

うーん、いいですねこれ。この実にストレートな感じ。作者の音楽に対する思いが伝わってきます。吹奏楽(部)を知らない人にとってはなんのこっちゃなところもあるとは思いますが、決して上手くは無いけれど迫力満点な絵が、説明的なところがなく無駄に熱いセリフが、凡百のスポーツものマンガよりはよっぽど熱い世界を見せてくれています。

いやはや。

吹奏楽部の世界は誰もが存在を知っていつつも、運動会や入学式以外での演奏風景をちゃんと見たことがある人は少ないですよね。プロスポーツの世界から想像しやすい運動部とも違うし、曲もたくさんあってどうしてもマニアックな話になりがちです。
吹奏楽を題材にした作品といえば、古くはSPEED主演の連ドラ「L×I×V×E」、マンガだと「ブラブラバンバン」(映画にもなりました)〜は変なマンガだったなw〜とか最近どこかで連載している「ブラボー!」「放課後ウインド・オーケストラ」は読んでない。小説だと津原泰水の「ブラバン」でしょうか。
しかし、当作、人間ドラマではなく徹頭徹尾音楽について熱く語っているところに好感を持ちました。もっとも、この手のは連載にするのは難しくて、短編読みきりだからよいのでしょうけれども。
音楽の世界はのだめのおかげで大分身近になったような気もしますが、まだまだ一般的とは言いがたいですね。

以上、マニア語りでしたw