マンガのボランティア翻訳プロジェクトは上手く行くのか

何かと物議をかもす漫画家佐藤秀峰氏がTwitterからつぶやいたことから始まったコレ。
ニコニコ静画
経緯は以下のとおり。

「原作者が誰か英訳して!と言ってるので、できる方協力お願いします(許可済)」

この画像がニコニコ静画に投稿された背景には、原作者・佐藤秀峰氏自身の呼びかけによりネット上で始まった「『ブラよろ』全話英訳化プロジェクト」があった。佐藤氏のロングインタビュー記事を書いたばかりの深水氏(@getnewsjp)が Twitter

「ニコ動で作業したい、という声もあるみたいですが、ニコ動にも上げてみましょうか?」

と佐藤氏(@satoshuho)に確認を取り、ニコニコ静画に"「ブラックジャックによろしく」英訳プロジェクト第1話"としてアップしたのだ。

http://news.nicovideo.jp/watch/nw1253

従来、こういうのって公共・福祉系や著作権切れの翻訳ではありそうだったけど、バリバリの現役商業マンガを本人の許可の下やるってことは無かったかな…あったかもしれないけど。

ただ、ちょっと気になる点。佐藤氏は、漫画家に対する編集者の態度や待遇に不満を感じたことから、自らのサイトで有料公開という手段を取っている人だ。クリエイターとしての漫画家の立場の向上を目指している、ともいえる。その人が翻訳と言う行為について「タダで」とつぶやく。それって、どういうことなんだろう。翻訳という行為を素人が無報酬で出来る程度の作業、という風に位置づけているのだろうか。
もちろん、みんなが知恵を出し合って翻訳することで、プロの仕事よりよく仕上がっちゃったりするかもしれない。著作権に照らした行為としてはいけないことだが、映画の字幕はなつこちゃんよりよい字幕をつけることに血道をあげる人がいたような記憶もある。
だからといって、「翻訳はタダでもできる」という風潮になるのはよくないんじゃないかなあ。言ってみれば「マンガはタダでも描ける」と、ならないか。

プロとして何かをやるっていうのは、その業界としてきちんとしたお金をもらえるようになる、というところまで含めて大変な行為ではあるよね。アニメーターの給料が上がらないのは需要に対して供給が多すぎる、という説もあるくらいだし。実際には今の値段でこその需要なのかもしれないけどね。
そのあたり、翻訳業という業種に対してどのような思いを抱いているのか知りたいところではあります。