政治家に本音と建前のどちらを望むか

印象論を多分に含むと前置きしておきます。
特に石原慎太郎や橋下支持層に多いと思うのだけど、政治家が本音をだだ漏らすことについて「よく言ってくれた!」「建前で政治はできない」みたいな声が上がる。ことがある。うん。
一方で、お前絶対にそんなこと思ってないだろ?と言う顔でもっともらしい事を述べている政治家に嫌悪感を覚える事もある。
でも、それをもって、本音をいう政治家が素晴らしいって思えるかな?
僕は裏でいかなる本音が飛び交っていようが、建前をできるだけ崩さないことが政治なんだって思う事があるんだよね。例えば、なんとか改革が、裏でどんな利権とか取引があろうと、建前として必要とされる改革の理由が強固であれば、それは改革すべきなんだよね。きちんと理由はあるわけで。
一方で罪深いのは選挙のとき言っていた建前を全然守ろうとしないこと。現実をみたらダメでした、というのは無能の表明でしかないし、せめてできるだけの努力をした結果こうなりました、という説明くらいはないと建前どころか単なる空手形でしかないよね。
で、もっと怖いのは、ぶっちゃけだ本音だって向き。なんかこう、戦ってる感だけはあるけど、敵を作ってぶつかるのはうまくいかなかったときに相手を言い訳のネタに使える(上に更なる戦いの支持要請ができる)ばかりか、本当に本音なのかもわからないまま世論をコントロールできる。
ここ最近の都政や大阪をみているとその手法は短期的には概ね支持を取り付けている。実績の評価なんて支持者はしようとせず、同じ(と思い込まされた)敵と一緒に戦っている錯覚すら抱いているのではないかしら。
新銀行東京(だっけ?小説家の言葉のセンスではないよね)とか東京オリンピック誘致とかで何が消費されたかを考えると誰が何を支持しているかわからなくなるけど、「歯に衣着せぬ言動」の魅力ってのはそれなりにあるわけだ。その実、何も成し遂げていないことが多いのだけど。
共産党を支持するわけではないけど、常に建前を堅持する表向きの面については良くやってるよな、と思う。民主党だって、野党のときは建前をもって与党を攻撃していた(もっともそれが野党の最も大事な役割ではある)。でもあの鳩山対鳩山動画が如実に示すとおり、与党になっても建前を守り通す力はなかった。
小泉のときの自民党が最も典型的にそれをやっていたと思う。困難と思われた改革に手をつけたし、結果としてどうかは評価し難い面もあるけれども、政治とは何ぞやというところの一面はきちんとしていたと思う。
一方で今回の自民党は本音っぽい言動で大衆の不満をくすぐる。さらに泡沫政党ですら守るだろう建前を取っ払ってアピールしている維新の会。本音がぶつかりすぎてて内部で調整できてないのがだだ漏れなのは茶番を通り越してコントでしかないよね。
さて、一体どこの誰さんに投票すべきか。非常に悩ましい選挙です。