SIerの未来について若い皆さんに期待すること

今どきSIerという半ば時代遅れの会社に新入社員として入った皆さんは、期待も不安もあることと思います。
元々いわゆる「受託開発」というシステム開発手法はシステム開発としては王道で、なんとしてもIT化を達成したいお客さんと二人三脚で頑張ってきたものです。しかし時代は代わりITシステムというのはわざわざ作って競争力を上げるものではなく、業務の前提として普通にそこにあるものになっています。システム開発の仕事もシステムというよりはサービスを作っていくものにシフトしています。
そんな中、受託開発の仕事が残っている意味、そしてお客さんがSIerを選択する意味というのは非常に重たいです。

IT業界はシステムのレイヤー毎の分業が進んでいるという実態があります。クラウド基盤がそこにあり、フレームワークがそこにあり、より実現したいことそのものだけにフォーカスした仕事が出来る環境が整ってきています。

ところが、業務システムは単にITサービスを活用すれば実現できるものではありません。業務要件の適正化、投資の有効性、対顧サービスの確実な提供、問題発生時の対処など「システムを作ること」以外の部分をきっちりと考えなければならないのです。

業界全体で見ても、業務システムのあるべきアーキテクチャを考えるということを志したエンジニアというのはごく一部のように見えます。SIerで仕事をしているととにかく「人を使う」ことが仕事になっていきがちですが、実のところエンジニアとしての楽しみの殆どはアーキテクチャを考えている時ですし、ものを実際に作るというのは業務システムを作るという仕事においてはごく一部の作業に過ぎません。

もっとも、顧客が求める対象もシステムからサービスに変化している最中です。システムの開発手法も変わっていきますし、SIerという形態も次第に変革をし始めているところです。

これからこの仕事がどうなっていくかを決めるのは10年後、20年後のあなた達です。僕のシステム開発という仕事における楽しみや志はおおよそ前述のとおりですが、どんな形でも、とにかくどういうエンジニアに成りたいかという志を持った仕事をすることを大事に仕事というものを考えて欲しいです。