ほんとうは著作権なんてどうでもいい。

極論*1。正確に言うと、どうでもいいのは著作権法だ。だってそうだろう?著作権法が守るのは大部分、「コンテンツをビジネスとして成立させる」ことだ。本来の著作者が持ちうる権利をそのまま守ってくれているわけではない。
もっと言うと、著作権そのものだって、ある点を除いて必要ないと思う。その点とは

  • 自分が著作者だと主張できる権利
  • 自分のものであるまま改変されない権利
  • 自分のものとして、内容を改める権利

のという点だけだ。2番目の点にしても、1番目の点を補強しているに過ぎないので、実質2つだ。既存のメディアにおいて、この点だけというのは無理がある。だとしても、Web上に限って言うと、これでいいのだ。なぜか。

ビジネスとしては

この権利だけではビジネスにならない。前にも触れたが、印刷の発明(改良)=メディアの誕生と捉えると、コンテンツビジネスの原点がそこにあることが分かる。それまではコンテンツそのものではなく、それを生み出す人に対価が払われていた。じゃあ何故メディア上のビジネスに移っていったかと言うと、たくさん広めたい(できればその分の対価も貰いたい)著作者の意向と、それを可能にする印刷・流通の意向がマッチしたから。流通させることの独占権と言うビジネスとしての権利を考え出したことで、コンテンツビジネスが生まれた。メディアがどんなに変化しようと、コンテンツの中身はそれほど変容するわけではなく、つまり、この構造は永遠に続くはずだった。

Web時代のコンテンツ論は

多分、幾度となく論じられてきただろうけれども、流通と言う構造が完全に壊れたのがWebという存在の革命的なところだ。時間と距離を超越することで生まれたのは、メディアではない。巨大な一冊の本だ。ハイテクなしおりを持っているそれは、また、限りなく無限に近い大きさを持っている。著作者は、流通を捨て去ることが可能になった。しかし現状はどうだろう。依然として著作者が著作物で飯を食っていこうと思ったら既存のメディアに頼らなければならない。一方でWeb上には無許可で著作物が掲載される。Webは著作者のパラダイスじゃなかったのだろうか

ビジネスにしがみつくと

Webはパラダイスではない。Webは本来(と言うと、それはお前が勝手に思っていることにすぎないと言う意見もあると思うけれど)、パブリックなスペースとして創造されたものだ。そこには暗黙のルールが存在した。誰もが自由に見ることが可能であるけれど、お互いにリスペクトするというルール。そこにビジネスの入り込む要素はない。しかし、ビジネスはどこにでもやってくる。物販はまあいい。広告はそれこそWebでビジネスをする最大の利点であろう。しかし、コンテンツは違う。Webはパブリックなコンテンツでできた塊なのだ。Webにコンテンツを掲載した時点でそれがパブリックになるのは自明ではないか?ところで、ずーっと、「Web」と言って来たけれども、これは「インターネット」と置き換えてもさほど変わるものではない。

話を戻すと

今の話を踏まえて、著作権をもう一度考えてみる。と、ビジネスという要素さえ排除できればやっぱり上記2点が著作権の要であると思う。となれば、転載なんかは自由にしても良いのか。否、Webにおける転載とは、既存のメディアからWeb上へコンテンツを移すことあるいはその逆のみが必要なことだ。Web上のコンテンツからWeb上のコンテンツを参照させるには、そのポインタを指し示すだけでよいのだ。このことの利点は、リソースを無駄遣いしないというだけではなく、上記の3番目の権利を保持することができるという点にある。「ちょっとまて、お前Webは一度掲載したら覚悟しろと言っていたじゃないか」と思われる向きもあるかと思うが、それはあくまでコントローラブルでない今のWebの現状を容認して使っている以上、意識しなければならないことであって、本来は著作権者がコントロールできなければならないものだ。既存のメディアではそれは不可能に近い。流通させるのも、させないのも、コンテンツ事業者の意思次第であるから。

転載することは

だから、本人の許可がどうとかではなく、Web⇒Webの転載は無意味だ。唯一意味があるとしたらバックアップとして。これはシステムの問題である。ところで、何故、後での変更を権利とするか。これは過去に犯した都合の悪い発言なんかを隠蔽することに使われるかもしれない。でも、間違ったものを間違ったまま広めないで修正できるメリットの方が大きい。これを著作者自身がコントロールするには転載されないに越したことはない。消えてなくなる自由も著者にはあると思う*2。データとしては様々なところに蓄積されていくのは仕方がない。ProxyとかGoogleのキャッシュとか。でもそれをコンテンツとして提示できるのは著作者だけであるべきだ。

しかし、何事にも例外が

ある。それについては次以降のエントリで書こうと思う。

*1:かつ、思考の垂れ流し。少しずつ積み上げていこうと思ったけれど、時間が過ぎていくばかりなので、一度ぶちまけてみる。別途前の記事の続きは書こうと思う

*2:Web魚拓みたいなサービスはその点で気持ち悪い