電子書籍とコミックスの意外な観点

土曜の夕方にやっているTOKYO-FMのAVANTIって番組 http://www.avanti-web.com/ てのが、業界人の雑談みたいな設定でちょっとしたトークをいろいろな人がちょっとずつ行うって言う結構面白い番組なんだけど、今週はiPad特集で、その中でIKKIの編集長が面白いこと言っていた。
マンガって、原稿はフラットなんだけど、読むときって絶対パースがつくから、こだわりを持っている漫画家さんにとってはiPadのフラットなスクリーンのほうが望ましい、って。
なるほど、その発想はなかった。
と、そこでの話とほぼ同じのがここにのってた。

松本大洋氏は「僕自身、紙へのこだわりが強いです。紙は大好きです。しかし、iPadパイロット版を見た瞬間、これからはこうなるんだろうなと思い、なにやら変な汗をかきました(笑)。マンガは見開き単位で描いているから、できればiPadで読むときも、横位置・見開きがいいと思いました。そうなると、今の画面サイズでも十分読めるとは言え、もう少し大きくなってもいいですね。それと、紙の本では、どうしてもノドの部分(綴じ部)が湾曲していて、中心に近いほど絵柄にパースがついてしまうのがイヤだったのですが、iPadではそれがクリアされるのは嬉しいです。いずれにしても、これを機に僕の作品を知ってくださる人がいたら、それはとても嬉しいことですね。」と話しているという。

【本田雅一の週刊モバイル通信】iPadをトリガーにコミックの国際化を狙う小学館 - PC Watch

見開きサイズで最初から表示してしまうとちょっと小さいだろうから、見開きを理想的に見せるというのはなかなか難しい感じではありますが、言われて見ればそうだよなあ、絵なんだもんなあとは思いました。

個人的には、パースがつくのも味があってよいし、それを意識して書いている人もいるのでは、と思うけどね。

上の記事の中でも触れられているけど、じゃあ、マンガが最初から電子書籍を意識して書かれたらどうなるか、みたいな期待感はこれからいろいろ高まってくるだろうね。マンガが今のコマワリの世界から離れないのであれば、例えばコマの中でアニメしたりすることに取り立てて意味があるとは思えないけれども、そんなレベルではなく、表現形式全体が大きく変わるかもしれない。とはいえ、作業自体が電子化されて、Flashのような環境が出来て何年もたつのにあまり変わった話を聞かないので、革命家の存在が必要かもしれない。出版社に縛られず、Webで売るのが革命だ、みたいな向きは遺物になったりしてw。

とはいえ、ゲーム機が進化しすぎて、ちょっと一山当てるために頑張ってみるか、的な発想で参入できないことによるゲーム業界の行き詰まり(主観ですが)と同じような結果が起きてしまうのは望ましくないでしょう。マンガが、特に日本のマンガが素晴らしい表現形式である所以は、リアルであることや芸術的であることが存在意義の第一義におかれないことなんじゃないかと思うわけですな。そういった、マンガの味的なものを捨てないまま、電子化時代にふさわしい新たな表現というのがiPadの登場によって加速していくのか、その辺りが興味深いですね。