読んでたらヤバイ?迷作SF小説8選

昨日のエントリのブクマを見ているとなんかニーズがありそうなのでw
ただ、読んでたらヤバイというSFなどそれほどない上に僕がそこまでアレなものを読み込んでいないので書き始めの今の時点で10選できるか実に微妙。読んだら人間性を疑われるとかそういう方面を期待している人はごめん。

1.「虎よ、虎よ!」アルフレッド・ベスター

まあ、これだ

以前書いたように、ラノベ酷いのネタにされてしまったこれだけど、まじめに没入するとこの視覚効果は結構ヤバイ。理不尽なまでの主人公の怒りに呼応してバッド・トリップしてしまうかも…

2.「ヴァリスフィリップ・K・ディック

ヴァリス (創元推理文庫)

ヴァリス (創元推理文庫)

主人公が狂っているあるいは狂っていくというのはディックの小説においては珍しいことではないけれども、神秘主義に傾倒して?から書かれたこれはSFというジャンルにしていいのかというくらいの問題をはらんだ作品で、作者もついに狂ったかと言われたようなものだ。ディックを特徴付けるディストピアの提示とはまた違った形で、僕たちは自己認識の崩壊を迫られるかもしれない。

3.「虚航船団」筒井康隆

虚航船団 (新潮文庫)

虚航船団 (新潮文庫)

文房具船が宇宙を旅してイタチ宇宙人を殲滅する話。これだけで狂っている。乗務員の文房具たちも狂っている。多分Wikipediaで登場人物を見るだけでクラクラしてくると思う。劇物注意。
筒井康隆といえばこれと「残像に口紅を」がおすすめ。いや、普通人にはおすすめしないぞ!

4.「家畜人ヤプー沼正三

家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第2巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第2巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第3巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第3巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第4巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第4巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第5巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第5巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

誰だよ江川達也なんかに漫画化させたの…
ひょんなことから未来世界に招待された日本人とドイツ人のカップル。しかし、その未来は日本人が家畜人「ヤプー」として白色人種に飼われる異様な社会だった…いやこれSFでしかできないよな…
まあ色々やばい。読んだら右翼が家の前に街宣に来るくらいヤバイ。

5.「セックス・スフィア」ルーディ・ラッカー

セックス・スフィア (ハヤカワ文庫SF)

セックス・スフィア (ハヤカワ文庫SF)

あとがきいわく「この小説は、「球のかたちをしたおまんこがいてさあ、これを股のあいだに持ってって、ああ気持ちいい。どころがびっくり、このおまんこは異次元生物だったんだねえ、うん」」
意味わからん…
もちろん、まともにポルノではない。4次元通り越して5次元までいって頭おかしくなります。

6,「戦士志願」L・M・ビジョルド

戦士志願

戦士志願

胎児であるときに毒殺されかかったせいで不具として生まれた主人公(と言っても身分は貴族だ)が軍人として、統治者として成長していくシリーズ。ここの作品群からは医療テクノロジーへの警鐘や、身的心的マイノリティの有り様など非常にセンシティブな領域への問題意識を感じる。まあ、ヤバイってほどではないかも。

7.「ダイアネスティック」L・ロン・ハバード

ダイアネティックス―明確な思考を取りもどせ!

ダイアネティックス―明確な思考を取りもどせ!

これをSF小説の枠に入れるのはもちろん反則なんだけど、SFにハマったものの負の側面として紹介してしまおう。ハバードはSF作家にしてあの「サイエントロジー」の教祖だ。科学を称した自己啓発セミナーの発展形と言っていいだろう。あからさまな疑似科学ネタにするか皮肉ることがSF作家の矜持だと思うんだが、自らが疑似科学の教祖になってしまうというのはSF者から見ると堕落なのでなないか。

8.「悪徳なんかこわくない」ロバート・A・ハインライン

悪徳なんかこわくない 上 (ハヤカワ文庫 SF ハ 1-6)

悪徳なんかこわくない 上 (ハヤカワ文庫 SF ハ 1-6)

ノンケの老人が女性の体に脳移植して新たな性に目覚める。おいこれ御三家の作品だろ?
いやいや、これが書かれた時代を考えると、こういった問題はタブーに近かった。SFが音楽におけるロックの役割を文学界(?)で果たしていたことを思うとこれはまさにロック。

いやー、これが限界。どうしてもやばい系はホラーに近づいていくので純SFジャンルというのは難しい。ここに上げたものもSFと言えるのかというものもある(それどころか小説じゃないものもあるけどw)。ヤバイSFが読みたければディックを読めば事足りる、というのもある。「変種第二号」を読んでなお自動殺戮兵器を作ろうとしている人がいたらキチガイだ。

それでもヤバイSFというのは沢山出てくる。ひとつ言えるのは、SFというのは限界突破するための小説であるということ。限界突破の方向が社会の問題を超えて人間の有り様に至った時、SFはそのヤバさを最大限に発揮するのだ。



あと、日本人は変態。