情報通信法と公然通信

総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」から中間報告(PDF)を発表されたようです。
(via ブログ、2chも対象にする「情報通信法」(仮)とは − @IT)
関心がある人はまず読んだほうがよいと思います。
大きな内容として、従来放送法、有線テレビジョン放送法、電気事業者事業法、電波法など、色々なレイヤーでそれぞれの分野ごとの法律が定められていたものを一元化し、情報通信法として統合する、ということがあげられます。これにより、競争が不公平のならないようにする規律を除いて、原則として、メディア間のレイヤーを超えた連携を可能とします。つまり、あっちとこっちの法律のバッティングなどが発生しないわけです。
そして、そのインフラを流れるコンテンツを「メディアサービス」「公然通信」「それ以外の(私信などの)コンテンツ」に分類します。ここで重要なのは、ホームページなどは公然通信、ということです。公然通信においては

  • 関係者全員が遵守すべき「共通ルール」を策定
  • 有害コンテンツについて「ゾーニング規制」の導入の適否を検討

とされています。
中間とりまとめの資料には公然通信は以下のように記載されています。

「公然通信」に係るコンテンツに関しては、現在は「通信の秘密保護」を踏まえ、
コンテンツ規律について「プロバイダ責任制限法」などを除き制度化していない。し
かし、インターネットのメディア化の急速な進展や、有害コンテンツが社会問題化し
ている現状を踏まえ、「通信の秘密保護」の根拠は匿名による表現の自由の確保とプ
ライバシーの保護(狭義の通信の秘密)にあるとの視点から、保護の範囲と程度を捉
え直すべきである。その上で、有害コンテンツを含め、表現の自由と公共の福祉の両
立を確保する観点から、必要最小限の規律を制度化することが適当である。
具体的には、「公然通信」に係るコンテンツ流通に関して、各種ガイドラインやモ
デル約款等が策定・運用されていることを踏まえ、違法・有害コンテンツ流通に係る
最低限の配慮事項として、関係者全般が遵守すべき「共通ルール」の基本部分を規定
し、ISPや業界団体による削除やレイティング設定等の対応指針を作成する際の法
的根拠とすべきである。「プロバイダ責任制限法」などICT利用環境整備関係法制
度についても、可能な限り一元化すべきである。
その際、特に有害コンテンツ流通について、「自殺の方法」や「爆弾の作り方」、「ポ
ルノ」など、違法とは必ずしも分類し難い情報ではあるが、青少年など特定利用者層
に対する関係では一定の規制の必要性があるものに関しては、有害図書防止条例など
の手法を参考にしつつ、いわゆるゾーニング」規制(特定の行為等に対して一定の
ゾーン(範囲や利用方法)に限り規制することを許容する規律手法)を導入すること
により、広汎な内容規制の適用を回避しつつコンテンツ流通の健全性を確保すること
が可能となるため、その導入の適否を検討する必要がある。

通信・放送の総合的な法体系 中間取りまとめのポイント

「規律の制度化」「コンテンツ流通のゾーニング」あたりがポイントになると思います。前者においては、「違法・有害」コンテンツ流通について、事業者が対応すべき点をルール化しようという動きに読めます。だから、必ずしも自由な利用の規制とはいえないようです。もちろん、こういうのは拡大解釈して使われるのが世の常ですから、油断するわけには行きませんが…
総務省のこの件に関するページは以下