非正規雇用は効率化の敵

官製ワーキングプアの記事を読みながら、適当に考えてみた。
派遣社員を長年雇うと要求されたら社員にしなければならない。それではオンデマンドの労働力である派遣を雇う意味がない。なので、短いサイクルで入れ替える。すると、当然のことながら、ノウハウの蓄積は起こらないし、あるいは見える化をしても引継ぎ作業は発生する。次に来る派遣が同じ実力を持っているかもわからない。社員にノウハウも残らないことが多いから、居なくなった後どうすればよいかわからなくなるかもしれない。
特殊な技能を持って、なおかつローカルルールにすぐに適合するような人材なんて言うのはそんなには多くないはずなんだけれども、こういったことが繰り返される。行政機関ですら。非正規雇用の待遇を低くキープするというのは、効率化をちゃんと行っていく代わりに、費用を安直に削減する手段だ。オンデマンドだから多少高くてもしょうがない、とか、派遣社員は派遣会社で福利厚生を受けているから、とかそういうところをすっ飛ばして手抜きをしているだけだ。実力に対してお金を払うと言う発想ではない。
予算が決まってしまっている行政において、効率化というのは1業務あたりの費用と時間を削減し、限られたリソースでより多くのサービスを行えるようにする努力なんだと思うけれど、費用を削減するために非正規雇用を増やす、で済ませてしまうことは、本来必要だったはずの効率化を怠ることになるんじゃないのかなあ。予算に余裕が出た分が正規雇用に回るかどうかは疑問だけれど(非正規雇用の人員が要らなくなっちゃうかもしれないし)、費用とともに行政としての能力まで削減してしまうようにはならないで欲しいものです。