派遣を使う目的が雇用の調整弁ならもうちょっと給料上げてやれ

単純なコスト低減策として派遣を使うって言うのはやっぱりうまくいかないんじゃないかなあと思う今日この頃です。

約4年間、半年ごとに契約を更新しながら、派遣社員としてトラック部品の取り付けに従事してきた。住まいは三菱ふそうの寮。作業に追われた今夏、手取りは25万円にまでなった。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000812180004

いつ首になるかわからないフルタイムの仕事で手取り25万というのは非常にリスキーですよね。派遣は専門性の強い業務=常にはいらないからスキルに見合った給料で雇い続けるには高コスト(だし、世間的にも不足しているから流動性が高そう)な業種の人をスキルに見合った高給で雇うためのものだったはずなんだけど。

派遣可能な業種や職種は、拡大している。当初はコンピュータ(IT=情報技術)関係職種のように、専門性が強く、かつ一時的に人材が必要となる13の業種に限られていたが、次第に対象範囲が拡大し、1999年の改正により禁止業種以外は派遣が可能になる。

労働者派遣事業 - Wikipedia

ということに至ってこの建前は崩壊しちゃって日雇いの拡大版みたいになっちゃった。企業は正社員じゃないいつでも首切りができる労働者をゲットしたわけです。でもフルタイムでそれなりに保障された仕事をゲットしたい労働者側にとってはその口が少なくなったということで。
企業が人を雇うことで抱えるリスク(主にコスト)を完全に外に出してしまえるんだからこれは一方的な話ですよね。資本主義の論理だ!持てるものが正義だ!みたいな。社会として人と企業の関係を成り立たせるためにはお互いのある程度の納得感は必要で、それを調整するのが政治だったりするはずなので労働者ももうちょっと政治にコミットしていかなければならないと思いつつ。
現実問題として、生活ぎりぎりの線で派遣をできるかというとリスクが高すぎる、でも他に働き口がない、という状況がある以上、何かしら改善しなければなりません。手段はいろいろとあると思いますが、ぱっと見でバランスが取れていないなと思うのは、企業側にリスクが少なすぎること。目的が雇用リスクの軽減だから当たり前かもしれませんが、自由に首にできる(というと語弊がありますが)人材を使うリスクとして、使い続けると正社員よりはるかに高コストになるくらいの給料にしないといけないとか、そういうキャップが必要になるんじゃないかなあと思ったりします。最低自給みたいに業種ごとに決めとくの。
でもそれやったら派遣でコスト削減の意味がないよなあ。
そもそも、派遣ってコスト削減の目的で使うものではないのがそうなっちゃっているからいかんのだよなあ。少なくとも、会社の景気がいいときに、派遣を使うことで更なる利益が、みたいな話になっちゃいかんのだよね。で、不景気のときは首にすることでコストを抑えました、と。景気が良くて人が足りないから高コストだけど派遣を使わざるを得なくて、それでも景気がいいから利益が上がり、その代わり不景気になったら派遣は不要に、というくらいじゃないとバランスが取れないはず。
今の状況下で派遣が切られてしまうのは仕方がないことかもしれないけど、利益が上がっているときに派遣が派遣としての正しい待遇を得られていたかという点については疑問ですね。
株主至上主義に傾きつつある中で、今みたいなどうやっても利益があがらなそうな状況のときに、口うるさい投資家が手を引いているうちに、もうちょっとましな待遇になるべく法律を制定したりすればよいんじゃないかなあ。どうせ株も下がる一方なんだし株価が安いときに海外の投資家に手を引かせてしまえ。国内の投資家は自分たちの基盤である日本の産業と労働力のためにいったん投資してしまえ。と思ったりもします。ま、僕の経済感覚は素人のものですから浅はかなんでしょうけれども。