会社のマネジメント力といいものを発掘すること

マネジメントってのはプロジェクトを、あるいは会社を、さらに広くとると業界を回していく力だと思うのです。そこには企画戦略調達全てが含まれていて。
「レコード会社は流通でしかない」とか言うおもしろ話を読んだ - しなちょうメルクマール - 熊手部を読んで考えた。
コンテンツ会社(放送・出版含む)の役割は発掘して育てるだけじゃなくて流行見極めてそれに見合ったところを強化したり、流行そのものを作ったりすることがそもそもで、それが「いいものを作ろう!」→「流行は俺たちが作る!」→「俺たちが作ったのが流行だから買っとけ」みたいな変質を遂げて、流通に手を染めるところまで。ゲームとかもそんな気が。かつてのソフトバンクの存在を思えば。
ここへ至って、コンテンツ業者がコンテンツで完結しない。まあ日本のレコード業界なんかは最初からそういう構造だったから今更の話です。ところが、(少し飛躍しますが、)インターネットをはじめとする色々なツールにより、ニーズとコストのバランスを保つことが難しくなるわけです。幻想で売っていたものが事実により売れなくなったり。
簡単に括ると多様化についていけない業界構造、という話になりますが、その背景はやはり業界全体のマネジメントに失敗していることにあると思います。会社は巨大化したら日銭を稼ぐにもその売上規模を守らなければならない。これは大変なことです。水物のコンテンツ産業がここまで巨大化したのはやはり単純に必要なものだけを提供したのではなく、余分に買って貰うための努力が成功したからであり、それを支えているのが娯楽としての人気なわけです。つまり、いつ崩れてもおかしくない土台に巨大化なことで産業が乗っている。コンテンツと流通が一体化することがその危うさに拍車をかけていると思います。
自分たちが牛耳れない別の流通を目の敵にするのは自然なことで、何しろ日銭稼ぎに組み込まれてますから少しでも減ると困る。長い目で見てとかは寝言です…っていうあたりがマネジメント失敗。新しい流通の形を戦略に持っていけなかった。
これで既存の流通が死んで新しい流通が世代を担うなら問題ないのだけど、既存の流通と共にコンテンツ会社も死ぬわけです。もちろん原因はコンテンツ側にもあって、ユーザーとクリエーターの差がたかだかツール(ここには流通させるための手段も含め)の差異が無くなってきた程度の要因で埋まってしまう現状があるわけです。もっともこの点については僕は懐疑的で、適切なチームに適切な予算があれば、そうそうアマチュアに凌駕されることはないだろうし、そのちゃんとしたコンテンツの割合を稼いでいくのが業界マネジメントでしょう。でも他の業界に依存した共倒れ体質では改善は難しいかもしれません。また、多様化を理由に粗製濫造したツケが高コスト化した日銭商売に堕ちてしまった原因であれば、真綿で首締め状態から脱するのは難しいかもしれませんね。
コンテンツ産業の人はあくまで自分たちはクリエーターの側であり、一員である矜持を元に立ち直っていただきたいものです*1コンテンツ産業を支配する!とかじゃなくてね。

*1:僕なんかが言うまでもなく、そうやって活動している方がたくさんいるとは思いますが